研究課題/領域番号 |
21K10573
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研究機関 | 千葉県立保健医療大学 |
研究代表者 |
山本 千代 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 助教 (90834672)
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研究分担者 |
野崎 真奈美 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (70276658)
永野 光子 順天堂大学, 医療看護学部, 先任准教授 (90320712)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 情報リテラシー / 根拠のある看護 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、EBNのためのIL能力体系表を開発し、その信頼性・妥当性を検証することである。この目的を達成するために3段階で課題に取り組んでいる。 令和3年度はその3段階のうちの第1段階である、看護師がEBNのために必要な情報リテラシー能力のプロセスと行動指標を明らかにすることを目的に臨床看護師10名にインタビューガイドに基づいた半構造化面接を実施した。 分析はインタビューから逐語録を作成、看護師の情報活用行動を抽出し、国立大学図書館協会「高等教育のための情報リテラシー基準2015年版」に示された「高等教育のための情報リテラシー活用体系表」に基づいて分類した。これは情報活用行動プロセスを「1.課題を認識する」「2.情報探索を計画する」「3.情報を入手する」「4.情報を分析・評価し、整理・管理する」「5.情報を批判的に検討し、知識を再構造化する」「6.情報を活用・発信し、プロセスを省察する」の6つの場面に分け、各場面での学習者が取るべき行動を指標として示し、その達成度を評価する目安となる具体的な行動を構成要素としている。 その結果、看護師は6つの場面すべての情報活用行動をしていた。最も多かった情報活用行動は「3.情報を入手する」のプロセスであり、次いで「2.情報探索を計画する」であった。一方で、「5.情報を批判的に検討し知識を再構造化する」「6.情報を活用・発信しプロセスを省察する」に該当する行動は少なかった。CNSは「6.情報を活用・発信しプロセスを省察する」の発展レベルに該当する行動をしていた。経験年数が上がるほど、高レベルの情報活用行動をしている傾向にあった。しかし、エビデンスの判断基準が看護師によって相違があり、それが情報活用行動にも影響していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年5月にインタビュー対象となる看護師のサンプリングを無作為抽出し、当該施設に研究依頼を行ったが、COVID-19の影響から令和3年7月を過ぎてもインタビューが実施できなかった。そのため、COVID-19対応で多忙である病院および看護師に負担をかけないために機縁法によるリクルート方法へ変更した。機縁法でもインタビュー対象の看護師の同意を得ることは容易ではなかったが、令和4年2月には計画通り臨床看護師10名のデータ数を確保することができた。 このインタビューデータから看護師の情報活用行動の実態が明らかとなった。本研究の第1段階の目的である看護師のEBNのためのIL能力解明に向け、看護師の情報活用行動の実態を明らかとなったため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
明らかとなった看護師の情報活用行動の実態から、根拠のある看護(EBN)のために必要な情報リテラシー能力のプロセスと行動指標を明らかにして体系化する。そして、EBNのための情報リテラシー能力体系表の開発を目指す。 国立大学図書館協会「高等教育のための情報リテラシー基準2015年版」に示された「高等教育のための情報リテラシー活用体系表」を参考に作成する。作成にあたり、質的研究に精通した看護学研究者3名で合意が得られるまで検討を重ねることで信頼性を確保する。 この体系表を活用する対象者は、看護師および情報リテラシー教育を実施する者を想定している。情報リテラシー教育を実施する者とは、看護師が勤務する組織の看護管理者や教育担当者、大学教員などである。そこで、開発した体系表を臨床看護師もしくは看護管理者として勤務する看護師、および大学教員による内容検討を実施し、体系表の内容的妥当性の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響から学術集会がオンラインでの開催となり、旅費に関する経費を使用しなかった。 残金については、本年度に実施する根拠のある看護(EBN)のための情報リテラシー能力体系表の開発の向けた検討会の経費に充てる予定である。
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