研究課題/領域番号 |
21K10578
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
小川 直美 (佐々木直美) 山口県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (00341230)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 看護学生 / セルフ・コンパッション / 臨地実習 |
研究実績の概要 |
研究の背景と目的:看護学生にとって、臨地実習とは、実際に対象者の看護実践を行うことを通して深い学びを得る機会となる一方、学生によっては、自身の能力やスキルに直面したり、対象者や医療者との関係作りに悩むなど、気分の落ち込みや傷つきといった心理的状態が生じる状況にもなり得る。そうした看護学生が、看護の臨地実習期間中にストレスが生じる状況においてセルフ・コンパッション(自分への優しさや思いやりを向けること)を高める取り組みを実施した。
方法:対象は、看護学生とした。セルフ・コンパッションを高める取り組みとは、ストレスを受けたとき、その事実から生じる自己批判的な思考やイメージと、それに加え慈悲の代替思考や代替イメージをシートに書くというものである。この取り組みは臨地実習期間中に、学生がストレスと感じた状況が生じた場合に、学生自身がその取り組みを実施するかどうかを任意で決めて実施した。分析方法は質的検討を行った。本研究は研究実施者の所属先の生命倫理委員会の承認を得て実施した。
結果:本研究に参加した看護学生は、23名であった。そのうち、セルフ・コンパッションを高める取り組みを実施した者は8名、実施しなかった者は15名であった。取り組みを実施した者のうち75%が「実習目標の達成に役に立った」と報告しており、63%が「実習期間中のメンタルヘルスの維持に役に立った」と報告した。「役に立った」と考える理由は、「過剰にネガティブな内省を継続することなく、学習意欲が継続でき、前向きに自分を捉えることができた」ということであった。一方、セルフ・コンパッションを高める取り組みを実施しなかった者は、「臨地実習に集中しておりこの取り組みのことを失念していたり、ストレスだと感じる場面が特になかった」ということであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
看護学生にもセルフ・コンパッションを高める取り組みが重要であるという知見が得られたことに加え、新人看護師を対象に調査介入研究を実施する場合に必要な視座を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
目的:新人看護師の職務ストレスがストレス反応やバーンアウトに影響するかについて調査研究において調べる。ここでは、職務ストレスの緩衝要因として、セルフ・コンパッションを捉えている。 研究の意義:本研究により、セルフ・コンパッションの高さが、職務ストレスに対するストレス反応を軽減することが明らかになれば、セルフコンパッションを高めることでバーンアウトの抑制に寄与することができる。 対象:200床以上の病院で勤務している3年目までの新人看護師とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行状況にともない、統計分析ソフトの購入は次年度に移行したため
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