研究課題/領域番号 |
21K10584
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
長沼 淳 順天堂大学, 保健看護学部, 先任准教授 (90424233)
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研究分担者 |
酒井 太一 順天堂大学, 保健看護学部, 先任准教授 (50363734)
榎本 佳子 順天堂大学, 保健看護学部, 准教授 (20637102)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 看護研究 / 倫理審査 / コロナ禍での介入研究 |
研究実績の概要 |
研究期間2年目の2022年度は、2021年度に実施予定だった全国調査に関してプレ調査を実施した。2020年に始まるコロナ禍の影響で国内における看護研究の実施状況も大きく変化し、研究倫理審査のあり方も大きな影響を受けることになった。通常の看護研究の実施がきわめて困難な状況になって、感染防止のため医療機関に厳しい行動制限がかかる中で看護研究を実施する方法論が模索された。その中で研究実施の前提である倫理委員会にも研究実施支援の役割が強く求められることになり、コロナ禍以前とはその立ち位置、あり方を大きく変えることが求められた。 本研究では看護研究の倫理委員会のあり方を検討することを主題に置いており、上述の環境の変化は調査内容の修正を余儀なくされることになった。それを踏まえて調査項目を大幅に修正を加え、調査そのものの妥当性を検証する必要があったために、冒頭で述べたプレ調査を実施することになったものである。コロナ禍で行動制限がある中での医療のあり方、また医療機関に入って介入や調査のあり方について、どのように現実的な研究が遂行できるか、研究計画作成段階からのサポートを倫理委員会が行うにあたり倫理性の担保をどのように判断するかについて、研究分担者や同業者などと話し合いを行うなど検討を進めてきた。 プレ調査の結果、質問項目のさらなる修正が必要となり、現在もその修正を行っており、今後本調査に移行するための準備を行っており、今年度は本調査を実施したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先述の通り、2021年度に実施予定だった全国調査に関してプレ調査を実施した。本来であれば2020年に調査を行う予定だったが、コロナ禍の影響で国内における看護研究の実施状況も大きく変化し、研究倫理審査のあり方も大きな影響を受けることになった。そのため研究者がコロナ禍に適した研究スタイルを模索する中で、倫理審査委員会に対しても行動制限が加えられた環境下で実施可能な研究方法についての問い合わせが殺到することになった。 大学やそこで実施される研究を取り巻く環境が激変したときに、倫理委員会が果たすべき役割はどのようなものなのかと検討を始めた際に、真っ先に対応を求められたのが研究計画の作成と研究環境(社会基盤を含めた)調和という問題だった。したがって本研究においても倫理審査委員会の機能の中には競技の倫理規範遵守に止まらず、研究環境に合わせた研究を実施するための倫理申請をどう審査するか、研究を実際に遂行するに当たっての条件整備をどのように支援していくかということが必要不可欠な業務となったのである。それに合わせて現在の看護系学部の研究倫理委員会がどのようにこのコロナ禍の元で研究の支援を行っているのか、どのように倫理審査を行っているのかを調査項目に加えることになった。 調査項目の修正について、研究分担者や研究者らと同様に倫理審査委員を務めている大学関係者らと検討を行い、修正版の調査資料を作成することができた。今後その調査を実施し、結果を分析していく予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は上述の修正を加えた調査紙を用いた調査、ならびに対面でのインタビュー調査を実施する。調査結果に関しては、研究協力者であるフィンランド・ユヴァスキュラ応用科学大学のマルヨ・バロヴァーラ教授と共同で検討を行う予定である。フィンランドの国内情勢は日本と同様にコロナ禍で大きな影響を受けているのに加えて、ロシアによるウクライナ侵攻を契機に、ロシアと長大な国境線を接しているため、国家の独立性を維持するために国民一人ひとりが自律的に行動するという意識が強化されているという。そうした視点から、調査結果から見る日本の状況について国外で日本とは異なる背景を持つ立場から分析に加わってもらう予定である。 研究分担者、研究協力者らとともに結果の分析を行い、現在日本国内で行われる倫理審査に対して求められているものを抽出し、そこから倫理審査のあり方、審査に当たって準拠するガイドラインがどのようなものなのかの結果をまとめ、関連学会で発表し、論文化したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍での行動制限、感染拡大防止の観点から調査の実施が困難であり、また研究者間の打合せも対面ではなくオンラインを主に使用することになった。そのため、主に旅費の使用が著しく減少していたために、予算の消化ができなかった。今年度は、対面での調査などを積極的に実施することで、予算についても全体として予定通りに使用することができると考えている。
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