研究課題/領域番号 |
21K10587
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研究機関 | 東京通信大学 |
研究代表者 |
中村 宏 東京通信大学, 情報マネジメント学部, 助教 (20511976)
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研究分担者 |
森 佳奈枝 東京通信大学, 人間福祉学部, 助手 (70806108)
佐藤 禮子 東京通信大学, 人間福祉学部, 名誉教授 (90132240)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 看護学教育 / オンライン教育 / 遠隔学習 / バーチャルキャンパス / 教授者支援 |
研究実績の概要 |
本研究では、実践的に学ぶ必要性の高い看護学教育に於いて、オンライン教育が通学対面授業の代替を全て賄えるまでの整備には至っていない現状を背景に、2019年12月からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大、所謂コロナ禍において臨時措置として実施されてきたオンライン授業と、従来の対面学習、そしてコロナ禍以前から実施されてきた遠隔教育との三者を教育工学の観点から比較調査を行い、そして、よりよい学習環境の構築、すなわち教育学習方略の策定を含めたe-Learning 教材の作成、あわせてオンライン教育に際する教授者の育成を目的とした教授支援システムや、授業と課外活動をあわせたキャンパスライフをオンライン上で実現できるバーチャルキャンパスを開発し、提案する。 2022年度は、初年度である2021年度の実態調査が不充分であったことから、引き続き看護学教育の現場等におけるコロナ禍の状況下での教育計画、及び実践と設備の実態調査、並びに、オンライン教育のためのラーニングマネジメントシステム(LMS)やe-Learning 教材、およびLMSに連携する教授者支援システムの先行研究を整理し、本研究でのe-Learning 教材や学習支援システムの開発の前提として国内研究会にて発表を行った。 また、実態調査や先行研究に関する調査の結果から、臨地実習の代替や補完を目的としたVirtual Reality(以下、VR)教材の導入の有用性が認められたため、VR教材を活用したバーチャルな(本質的な)実習により、知識や技術を「実践できる」段階に到達させるための一助となるべく、模範手技を一人称視点で追体験できるVideo On Demand (VOD)教材の開発環境を整えて、ウェアラブルカメラによる撮影を試行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度である2021年度において、看護学教育の現場等においてのコロナ禍の状況下における教育の実践と設備の実態調査は、当時の状況下において訪問することは不適切であると判断し、看護教育の実際の教育現場に赴くことを断念した。 2022年度はコロナ禍における制限等が緩和されると予想し、実地での調査を繰り延べて実施する予定であったが、調査の主担当である共同研究者の森佳奈枝、佐藤禮子の両名が怪我等の諸事情により訪問調査ができず、そのため当初の計画から縮小して実態調査を実施し、同時にその不足を補うべく文献調査を行った。 調査の分析を踏まえたe-Learning 教材・コンテンツの作成に関しては、撮影機材や教材の編集環境の構築等はほぼ当初の予定どおり行えたが、対面授業と比較した遠隔教育での不足部分を補うための教育方略の策定については、これが本研究の根幹の一つであるため、性急に行うことなく調査結果を分析し、検討をしており、そのためコンテンツ等の試作作業に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
研究3年目となる2023年度では、引き続き調査結果の分析等から、看護学教育に於ける、対面での授業や臨地実習の代替や補完として差支えのない教育方略を策定し、学習支援システムやコンテンツの作成を行っていく。また対面授業に対してオンライン教育は、コミュニケーションの取りづらさが要因となり学習の継続性が低下し脱落を招くとされることから、学習者間、あるいは教授者と学習者のコミュニケーションを支援する方法として、オンライン上でキャンパスライフを実現できる、バーチャルキャンパスとバーチャルな教室空間に関しても試作していく。 当初の計画ではシステムやコンテンツの試作は、当初予定では2022年度から2023年度まで2年間をかけて試行錯誤し、実態調査結果から考察した不足部分を教育現場にフィードバックしながら実施していく予定であった。2023年度は研究協力者として、教育工学の研究者やVRコンテンツ作成を専攻とする研究者の、本研究への参加を予定しており、作業の遅れを取り戻していく。 最終年の2024年度には、それまでに検討した新たな方略について、通学対面授業との比較に於いて、充分な効果をもたらしているかどうかを、開発システムの教育現場での試用を実施して検証し、研究成果の論文投稿と国際会議での発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度には、2021年度から繰り越して、看護学教育の実態調査として実際に教育現場に赴いてヒアリング等を行う予定にしていたが、担当者が怪我等の諸事情によって取りやめ、遠隔での実態調査と文献調査に変更したため、予算と支出、及び費目に差異が生じた。 VR教材の作成環境について、教育方略の策定途中に試作の準備をし始めたことから、開発環境として機材やアプリケーションを全て用意できていない可能性がある。また研究協力者が使用する機材等も必要となる。前述の理由によって生じた次年度使用額から、必要に応じて開発研究の費用に充てていく。
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