研究課題/領域番号 |
21K10593
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研究機関 | 千里金蘭大学 |
研究代表者 |
伊藤 朗子 千里金蘭大学, 看護学部, 准教授 (60454667)
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研究分担者 |
石井 豊恵 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (00452433)
三谷 理恵 兵庫医科大学, 看護学部, 講師 (70437440)
中橋 苗代 京都橘大学, 看護学部, 准教授 (60454477)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 臨床推論 / 臨床判断 / 推論パターン / 看護基礎教育 / シミュレーション教育 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、複雑で変化を伴う状況において看護学生と看護師が最善の方略を選択するために求められる臨床推論能力を効果的に育成するための学習プログラムを開発することである。具体的には、①看護学生と看護師が提示された事例患者の問題や優先順位を推論・判断する過程を思考発話データと視線の滞留・軌跡データから把握し、その特徴を分析する。②看護学生と看護師の状況認識と推論パターンの特徴から、学習の足場かけとなる支援を検討することである。 2023年度は、看護師と看護学生を対象に模擬電子カルテを用いて模擬事例を提示し、患者の問題や優先順位を推論・判断する過程における思考発話データとアイトラッカーによる視線データ、実施後のインタビューデータを収集した。2024年3月末までに看護師18名、看護学生20名のデータ収集が終了し、2024年度もデータ収集を継続する予定である。さらに、看護師と看護学生の臨床推論と判断における手がかりの認識と活用に焦点をあて、先行研究をスコーピングレビューとして整理し、第27回EAFONSにて成果を発表した。推論や判断の過程で最も利用されていた手がかりは、バイタルサイン、症状、検査値などの生理学的指標であり、心理・社会的な指標に言及した研究は少なかった。重要な手がかりへの着目や手がかりを関連づけて用いることが明らかになった一方で、手がかりをどのようにパターン化したかは、少数のケースのみで示されていた。今後、先行研究の結果をふまえ、看護学生と看護師の状況認識と推論パターンの分析を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
先行文献の検討により明らかになった、状況認識の測定に影響する要因を最小限にするための事例設定や測定方法の調整が必要となり、調査開始までに時間を要した。また、対象者のリクルートでは、学業・勤務への影響を最小限にするための日程への配慮や実験に適した場所の確保、アイトラッカーの条件に合う対象者の選定が必要であり、当初の計画に比べデータ収集期間に時間を要したため、全体の進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の前半には必要なデータ収集が完了するよう、対象者のリクルートを継続していく。また、研究補助者を確保し、現時点で得られたデータの整理・逐語録化を迅速に進め、分析していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度はデータ分析を進め、研究成果をまとめ・発表予定であったが、リクルート期間の延長により、次年度に残りのデータ収集を含め行うこととなった。データ分析と研究成果の発表により生じる費用を次年度使用額として利用予定である。
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