研究課題/領域番号 |
21K10615
|
研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
松尾 まき 東京医療保健大学, 医療保健学部, 講師 (00783549)
|
研究分担者 |
高山 裕子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (00637803)
鈴木 英子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (20299879)
町田 貴絵 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (40793534)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 健康生成モデル / SOC / 医療従事者 / ワーク・ライフ・バランス調節力 / 感情調節 |
研究実績の概要 |
健康生成モデル(Antonovsky, 1987)においてsense of coherence(以下SOC;首尾一貫感覚)は危機的状況下で知識・知性、対処戦略、社会的関係などの資源を動員し有効に活用する健康要因である。2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は感染症法の5類感染症に位置づけられたが、パンデミック後の医療従事者に対するメンタルへルス・ケアは引き続き求められる。そのためにはCOVID-19パンデミック時の日本における病院医療従事者のメンタルヘルスの特性と有効な支援についてスコーピングレビューを実施し、SOCの働きと健康への効果に関する仮説モデルの検証を試みる。 第1段階では2020年3月から2021年6月までに発表された28件の文献をレビューした。この期間中、日本では4回のパンデミック波が発生した。女性、看護師、若年労働者と高齢労働者(特に社会的に孤立している労働者)において、うつ病と不安の割合の増加が観察された。メンタルヘルス悪化の危険因子として、業務内容の変化、業務意欲の低下や共感疲労、COVID-19患者数の増加や院内での集団感染による感染状態の悪化、基礎疾患の有無、偏見や風評による社会的ストレスが挙げられた。医療従事者に有効な支援策としては、知識や関連情報の提供、個人防護具の教育機会、周囲からの承認や励ましのメッセージ、他の感染者からのポジティブなサポート、職場環境以外の活動に費やす十分な時間などが挙げられた。 結論として、COVID-19のパンデミックは、仕事の量と質を変化させており、特に社会との接点が少ない医療従事者のメンタルヘルスの問題の大きな原因となっていた。社会的孤立を減らし、余暇の有効利用を増やすために、影響を受けた人々への対策が必要であることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19パンデミック禍で公表された新たな知見を踏まえ、仮説モデルを構築中である。2021年6月以降から現在までの発表論文のレビューでの知見も追加検討中であるため、時間を要している。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画時に予測していた健康生成モデルに加えCOVID-19禍で公表された先行研究から得られた関連・影響要因を検討したうえで仮説モデルを再構築しているため時間を要したが、今年度の調査に向けて倫理審査書類を準備中である。調査実施後、解析まではR5年度中に実施し、R6年度以降に結果を公表していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた調査年度より遅れているために、調査時かかる人件費や謝金等が繰り越されること、学会の参加についてはWeb参加となったこと、予定していた国外の学会(Eafons)が東京開催だったことが次年度使用額が生じた理由である。 使用計画は調査にかかる費用に充てること、調査結果を公表していくため、現地での学会参加に充てることとする。
|