研究課題/領域番号 |
21K10631
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
佐藤 みほ 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (30588398)
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研究分担者 |
宮川 祥子 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 准教授 (00338203)
井庭 崇 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (40348371)
佐藤 菜保子 福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (40457750)
藤村 朗子 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (80438853)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 暗黙知 / 実践知 / 痛み / 可視化 / パターンランゲージ / アセスメント |
研究実績の概要 |
臨床の看護師が行う「アセスメント」のプロセスには言語化されていない「暗黙知」に基づくと考えられる部分が多く、看護学生はアセスメントのプロセスの理解と実践に困難を抱えていると考えられる。そこで本研究では以下を目的として実施している:①暗黙知を言語化するために、アセスメントに卓越した看護師複数名が自身の実践について語る言葉を類型化・概念化し、抽出したものを体系的な言語で表した「アセスメントのパターン・ランゲージ」を構築する。②アセスメントのパターン・ランゲージを学習した人工知能を用いて学生のアセスメントをテキスト解析することにより、学生のアセスメントの振り返り、および課題明確化を促す学習支援システムを開発し、有用性と導入可能性を検証する。 なお本研究においては「痛み」に着眼することとした。「痛み」は患者の主観的・個人的体験であり、客観的に捉えるのが難しい症状の一つである。このような「痛み」の訴えを的確に捉えるためには、看護師それぞれが実践に基づく様々な工夫を取り入れていることが想定されるためである。 本年度は昨年度までに実施した急性期病院に勤務する病棟看護師で病棟勤務経験5年以上の看護師を対象(計19名)としたフォーカスグループインタビューにて得られた「痛み」についてのアセスメントの暗黙知・実践知に関する語りの分析方針、分析目的について検討した。分析方針を定めるために、研究目的に即して多くの語りを得られたと考えられるインタビューを対象に、データの一次分析に着手した。分析にあたり、Tanner(2006)やNielsen et al(2007)による臨床判断モデルの枠組みを参照し、主に患者の「痛み」を捉えるということが暗黙的にどのように実践されているのかについて明示を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データ収集がCOVID19流行下であり急性期病棟の看護師を対象にしたグループインタビューであったことから緊急の勤務調整等が発生したため、2022年度までのインタビュー日程の再調整が度々生じたことが、インタビュー後の逐語録作成に至るまで波及し、計画策定時に比してデータの集約まで長期間要した。その結果データ分析方針の検討の着手、データ分析作業に当初の予定に比して遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も継続してデータ分析を行い、急性期病棟に勤務する看護師らが患者の「痛み」をアセスメントする際に活用している暗黙知・実践知のパターンを抽出する。また分析内容やその結果に応じては追加のデータ収集を行う。 さらにデータ分析結果を看護学生や新卒看護師のアセスメントスキル向上のための教材作成への活用方針について検討を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算を有効かつ効率的に使用したことに伴い、未使用額が発生した。また、研究者間のミーティングはオンラインで開催しており、計上していた出張費用や会議室利用料等の支出がなくなったため、余剰額が生じた。 次年度はインタビューデータの逐語録作成やデータ管理等に人件費が、成果発表のための論文投稿費用等が生じることが予測されるため、余剰分を充当する予定である。 またデータ管理のためのハードディスクドライブやデータ分析用のソフト購入にも充当予定である。
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