研究課題/領域番号 |
21K10637
|
研究機関 | 八戸学院大学 |
研究代表者 |
溝江 弓恵 八戸学院大学, 健康医療学部, 講師 (00721979)
|
研究分担者 |
渕田 英津子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (90315846)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 教育プログラム / 老年看護過程 / 協同学習 / 認知症高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,認知症高齢者を包括的に捉え,多職種チームにおける看護の専門性と連携方法を学ぶことができる協同学習型老年看護過程教育プログラムを創生することである。2021(令和3)年度は,研究①国内の老年看護過程教育に関する文献検討,研究②看護系大学における老年看護過程教育に関する全国調査を実施した。 研究①は,「看護過程」「高齢者」「教育」「学生」をキーワードに医中誌Web版とCiNiiを用い,1989年~2021年の原著論文を検索した。193件が抽出され,総説・文献検討15件,老年看護過程教育(以下,演習)を研究対象としてない149件を除外し,29件を分析対象とした。分析対象文献の本文を精読し,演習の目的・目標,演習事例の設定,実施時期,学習形態,課題をマトリックス表に整理した。結果,認知症高齢者の理解を深める老年看護過程教育の研究成果の蓄積は少ないことが示唆された。また,演習の目的・目標の明確化と認知症高齢者をイメージできる事例作成,学習の達成感を高める演習プログラムの構築が今後の課題であると示された。なお,本結果は,2022年6月開催の日本認知症ケア学会第23回大会に演題登録中である。 研究②は,一般社団法人日本看護系大学協議会の会員校290校を対象施設とし,老年看護過程演習の現状(授業形式,対象学生,目的・目標,演習事例の概要,活用の理論,使用している教具,配当時間数,担当教員数,学習形態・教育技法,評価方法),看護過程演習における学生の学習成果,看護過程演習の今後の課題について郵送による質問紙調査を実施した。49大学より回答が得られ,老年看護過程教育の現状,学習成果および今後の課題について分析を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の所属大学では,老年看護学の助教を公募しているが応募者がなく,1名欠員の状態が続いている。加えて,新型コロナウイルス感染症の影響から,高齢者看護学実習の実施方法について,感染状況に合わせて検討や調整の必要性が生じた。そのため,研究時間の確保が困難であった。 また,実施した全国調査の回収率が10%程度に留まった。その理由として,新型コロナウイルス感染症関連の教育内容の変更・調整により回答しにくい状況や3月という多忙な時期に調査実施となったことが影響したと推察される。そのため,再度,協力依頼文書を発送し,回収期限を延長した。その結果,回収率は16.8%となったが,調査結果の集計・分析は年度内に終了することができなかった。また,返却された調査結果の分析過程から,事例作成の担当者やその作成過程,理論の活用理由などの情報を個別インタビューで得る必要性が示された。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は,研究期間の最終年度である2023年度に作成した教育プログラム(案)試行・評価ができるよう,以下の研究活動を実施する。 1.全国の看護系大学を対象に実施した老年看護過程教育に関する調査結果の集計・分析 2.老年看護過程教育に関するインタビュー調査の実施・結果分析 3.看護基礎教育における協同学習導入に関する文献検討と老年看護過程教育の評価に関する文献検討 4.教育プログラムの基盤となる認知症高齢者の事例作成,演習の展開方法,学習効果の評価指標の検討
|
次年度使用額が生じた理由 |
全国調査の実施・結果分析が計画より遅れたことから,アンケート調査実施に関する費用は使用したが,①記述部分の分析のための質的研究支援ソフト購入費と②全国調査報告書の送付に関する費用は,使用に至らなかった。そのため,今年度は①②の費用とともに,追加で実施を予定しているインタビュー調査の謝金として使用していく。
|