研究課題/領域番号 |
21K10645
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
小笠原 ゆかり 日本福祉大学, 看護学部, 准教授 (50335048)
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研究分担者 |
藤田 比左子 日本福祉大学, 看護実践研究センター, 客員研究所員 (80315572)
新美 綾子 日本福祉大学, 看護学部, 教授 (90735466)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 看護技術 / デモンストレーション / 脳内活動 / 視線運動 / 学習効果 |
研究実績の概要 |
看護技術教育におけるオンライン授業による技術習得のための効果的なデモンストレーション(以下、デモ)の教授方法を開発することを目的とした。デモを対面で実施する際の脳内活動と視線運動を調査することを令和3年度の実施計画とした。 5~7月に予備調査で実施するデモの方法を検討した。技術習得するためのデモの要件として、簡潔・短時間・正確な手技を満たす技術として、予備調査で実施するデモを「注射器と注射針の接続」を選択した。8月より、2つの予備調査の研究実施要領を研究計画書に準じ検討した。 1つ目の予備調査は、脳内活動を、NIRSを用いて明らかにするため、対面でデモを実施する方法(以下、対面デモ)において、実施時に説明を聴きながら見る場合(以下、対面説明ありデモ)と、説明がない場合(以下、対面説明なしデモ)の2つを調査内容とした。予備調査開始前後に、計測器具であるNIRSの操作方法および分析方法について、島津製作所の技術者から説明および指導を受けた。3月中旬に看護学生9名を対象に実施した。分析の詳細は今後であるが、結果の概要としては、対面説明ありデモを見ている方が、脳内活動の状況から集中ができていないことが示唆された。つまりデモは、説明なしで実施した方が、学習者の集中を喚起できる可能性が推察された。 2つ目の予備調査は、視線運動を、アイトラッカーを用いて明らかにするため、1つ目の予備調査と同じ調査内容とした。アイトラッカー(EMR-9)の操作方法については、実施前にNac社の担当者から研修を受けた。3月中旬に実施予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響があり、4月末に延期することとした。 なお、2つの予備調査については、日本福祉大学「人を対象とする研究」に関する倫理審査委員会の承認を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画していた2つの予備調査のうち、NIRSを用いた脳内活動の調査は実施できたが、アイトラッカーを用いた視線運動の調査は、令和3年度中に実施することができず、令和4年4月末に延期することにした。延期理由は、新型コロナウイルスの蔓延により、計画していた調査協力者との日程調整が困難となったため、調査依頼日延期およびそれに伴う実施日の延期をする必要が生じたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度内に実施できなかったアイトラッカーを用いた視線運動の調査を、令和4年4月末に実施する。 その後、令和3年度に実施したNIRSを用いた脳内活動の調査結果と令和4年4月末に実施予定のアイトラッカーを用いた視線運動の調査結果を分析する。同時に、動画でデモを視聴する方法(以下、動画デモ)において、実施者視線および学習者視線からの2種類の画角を準備する。それぞれの動画を視聴している時の脳内活動と視線運動の調査内容とし、8月に実施する。令和4年度後半にそれぞれの結果を分析する。ここまでの結果を踏まえ、看護技術教育の効果的な教授方法を検討する。 次に、令和5年度では動画と対面でのデモを融合した効果的な教授方法を開発し、それらのオンライン授業での実用性を検討する。さらに、開発された教授方法を用いた動画作成をし、それらを視聴後の学生を対象としたアンケートを実施し、教授法の妥当性を検証する。 なお、令和3年度に実施した予備調査の分析結果を、第15回日本医療教授学会で発表をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度中に、NIRSの解析ソフトを購入予定であったが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響により、在宅勤務の移行が進み、電子機器部品に必須である半導体の需要が増え、一方供給体制がひっ迫したことによって、納品が遅れ5月末になった。 令和3年度中に実施予定であったアイトラッカーを用いた予備調査は、新型コロナウイルス感染拡大の影響があり4月に延期になった。それに伴い、予備調査で使用するアイトラッカーのレンタルも延期となった。 令和4年度の研究計画として、前述した4月の予備調査に加え、8月に動画デモを視聴している際の脳内活動と眼球運動を測定する調査を実施する予定である。アイトラッカーをレンタルは、4月と8月の2回とし、さらに、脳内活動計測のための備品購入を計画している。 以上が、令和4年度使用額が生じた理由である。
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