研究課題/領域番号 |
21K10655
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
松本 智晴 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 准教授 (80540781)
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研究分担者 |
伊賀崎 伴彦 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (70315282)
坂田 聡 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (80336205) [辞退]
前田 ひとみ 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (90183607)
山本 麻起子 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (10971195)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 嚥下 / 音声 / 筋電 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、オトガイ舌骨筋と舌骨下筋群の表面筋電図、音響特徴量及び喉頭運動による嚥下機能と音声機能の関係性と加齢変化について明らかにし、音声機能評価と喉頭運動解析による嚥下機能の客観的な評価の有効性について検討することである。 2023年度は、20歳代から70歳代の男女に協力を得、対象者数の目標の79.8%までデータ収集を行った。 データ解析では、20歳代と60歳代男女の嚥下時の喉頭運動について動画データを解析した。具体的には甲状軟骨上のマーカについて、嚥下時の変位と速度、加速度を解析し、年齢と性別で比較した。その結果、変位が大きかったのは60歳代男性で7.37mmであった。次いで60歳代女性4.13mm、20歳代男性3.69mm、20歳代女性2.89mmの順であり、統計的に有意差が認められた(p<.01)。速度については、60歳代男性が27.3ms、60歳代女性が22.6ms、20歳代男性20.0ms、20歳代女性18.0msと、60歳代男性が最も速く統計的に有意差が認められた(p<.01)。加速度については、60歳代男性が591.4ms、60歳代女性が519.9ms、20歳代男性409.4ms、20歳代女性309.0msで、変位と速度の結果と同様に60歳代男性が他の群よりも速く、60歳代男性と20歳代男女との間に統計的有意差が認められた(p<.01)。先行研究では加齢に伴い喉頭の位置が低下することが報告されており、本研究においても加齢に伴う喉頭の位置の低下により60歳代男性の方が変位と速度、加速度が大きくなることが示唆された。本研究の成果は、27th East Asian Forum of Nursing Scholars(香港)で発表した。嚥下に関する筋電データと音声データについては、現在解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響が少しずつなくなり対象者への協力は得られやすくなったものの、70歳代の対象者に協力を得ることが難しい状況が続いた。また、データ収集に時間を要し、今回、解析できた20歳代と60歳代のデータにおいても収集が完了したのが12月であったため、筋電と音声すべてのデータ解析までには至らなかったことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
目標とする対象者の約21%が未収集であるため、引き続き協力を得、データ収集を行う。また、筋電と音声の解析も進め、動画との関係性と加齢に伴う変化を捕える。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集が完了していないため、データ収集に必要な物品購入のための経費を残す必要があったこと、成果発表のための学会誌への投稿などの準備が遅れたことが理由である。今年度はデータ収集を完了させ、成果発表のために使用する。
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