研究課題/領域番号 |
21K10670
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
松浦 志野 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (80712679)
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研究分担者 |
菱田 一恵 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (00326117)
藤田 淳子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国立看護大学校, 教授 (10553563)
手林 圭 (宮本圭) 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (40320816)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 在宅看取り / その人らしさ / 訪問看護師 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
一昨年度までの研究で、在宅看取りにおける主要な概念として、療養者の「その人らしさ」という言葉が使われていることがわかった。そのため、日本の訪問看護師は高齢療養者の「その人らしさ」をどのように捉えているのかを明らかにすることを目的とし、医中誌Web版を用いて、「訪問看護」「その人らしさ」等のキーワードを含む過去10年間(2012~2022年)の文献を検索し、訪問看護師による高齢療養者の「その人らしさ」を尊重した看護実践が豊富に記述されている11論文を選出した。これらの文献から訪問看護師は高齢療養者の「その人らしさ」をどのように捉えているのかに関連する具体的な記述を抜き出し、メタ統合の手法を参考に二次分析を行った。その結果、訪問看護師は、【過去の療養者の姿から「その人らしさ」を類推する】【現在の療養者の姿から「その人らしさ」を了解する】【療養者が将来に向けて描く「その人らしさ」を探る】ことで高齢療養者の「その人らしさ」を捉えようとしていた。 さらに、「その人らしさ」が特に問題になるのは、療養者本人の明確な意思や希望を確認できないときであることから、A地域にある機能強化型訪問看護ステーションの訪問看護経験3年以上の看護師5名に半構造化面接を行った。調査内容は「認知機能が低下した高齢者の『その人らしさ』をどのように捉えたか」「研究対象者が捉えた『その人らしさ』を看取りケアにどのように活かしたか」について尋ねた。インタビューでは、10名の看護師を対象に、22事例を聴取した。8月以降、インタビューデータの分析を行い、訪問看護師の実践についてまとめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年7月より、研究代表者の体調不良によってインタビューデータの分析を進めることが困難となった。研究代表者は2024年4月より仕事に復帰したため、今後は研究を進めることが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年現在、インタビューデータ(22事例)の分析を行っている。同意を得て録音した内容より逐語録を作成・熟読し、分析視点に沿った文章を抜き出してコード化し、抽象度を上げ、カテゴリを作成しているところである。 今後は、6-8月に国内文献のメタ統合・インタビューで得られた結果から「認知症高齢者の在宅看取りを行う訪問看護師に必要な『その人らしさ』を把握し支援するための概念モデル」の構築を目指す。作成したモデルをエキスパートパネルに提示し、その妥当性と活用可能性を検証する予定である。機縁法を用いて、認知機能の低下した在宅療養者の看取りに造詣の深い専門職者(在宅看護専門看護師・老人看護専門看護師・在宅ケア認定看護師・認知症看護認定看護師・訪問診療医)各2名ずつを予定し、老人看護専門看護師、在宅看護専門看護師には依頼を行い、内諾を得ている。 次年度以降は、作成したモデルを用いて在宅看取りを行う訪問看護師支援を実際に行い、モデル使用の効果を検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度の代表研究者の体調不良に伴い、研究の進捗が滞ったため、次年度使用額が生じた。今後、国内文献のメタ統合の結果・インタビューデータの分析結果をまとめて「認知症高齢者の在宅看取りを行う訪問看護師に必要な「その人らしさ」を把握し支援するための概念モデル」を構築する予定である。モデルの妥当性と活用可能性についてエキスパートパネルを行い、実際の活用(訪問看護師の看取り支援等)につなげていくにあたり、助成金を使用する。
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