研究実績の概要 |
自閉スペクトラム障害児に対する乗馬療法の効果と提案に関する研究をするにあたり、1.文献レビューによる国内外の10年間の乗馬療法の成果や評価と看護の課題に関する調査、2.福祉活動として乗馬活動を実施している施設において短期的・長期的な対象児童の評価、3.福祉活動である乗馬に参加している児童の保護者に対するインタビューによる保護者の捉える長期的乗馬活動の評価、に関して調査を実施した。 1の結果として、キーワードを"psychiatric," "hippotherapy," "equine," "autism spectrum disorders," and "horse riding"とし、PubMed、CHINAL、MEDLINEのから24件の論文が検索され分析した。治療的乗馬の効果として、対人関係におけるコミュニケーションの増加と生活上の子どもの身体と感情的側面における効果の指摘が多かった。関係スタッフは、ボランティアの、乗馬インストラクター、作業療法士の順に多く、看護職者や医師の介入の報告はなかった。 2の結果として、4か月ごとの4回、参加幼児・児童の身体機能(身長、体重、乗馬前後の脈拍・血中酸素飽和度・握力・呼吸筋力)を測定した。4回を通して34名の未就学児、就学児童の協力を得た。就学児童の3回目の乗馬活動において乗馬の前後に呼吸筋力の上昇が認められ(Wilcoxon)、現在結果の分析を継続中である。 3.1-2週に1度の乗馬活動を6か月-7年間継続している子ども(7-14歳)の保護者10名(37-40歳)に対し、対象保護者1名につき65-108分の個別の半構成インタビューを実施し内容を質的に分析した。乗馬プログラムが子どもの自信を高め、日常生活において「出来ること」を拡げており、保護者は子どもの変化から子どもの魅力を再認識していたことについて認められた。
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