研究課題/領域番号 |
21K10684
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
紙谷 恵子 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70807081)
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研究分担者 |
伊東 美佐江 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00335754)
前田 訓子 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (10738876)
齊田 菜穂子 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00279233)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 意思決定支援 / 妊孕性 / 乳がん |
研究実績の概要 |
本研究は、乳がん患者の納得のいく意思決定を促進する支援を構築することを目的とし、その一つとして乳がん診断後の妊孕性に関する選択を行う際のディシジョンエイドを開発する。本年度は女性乳がんサバイバーを対象とし、①妊孕性温存の選択における情報源と意思決定の実態に関する質問紙調査と②妊孕性温存の意思決定プロセスに関するインタビューを行った。①では、調査データから妊孕性温存に関する情報収集の状況と、意思決定時の理解度、意思決定に対する自信、および意思決定後の後悔の関連を明らかにする。これをもとに、乳がんと診断された女性への妊孕性温存に関する情報提供を含めた意思決定支援のあり方について検討する。②インタビューでは、乳がんと診断され妊孕性温存に関する意思決定を行った女性がその経過の中でどのような体験をしたか、乳がん診断後から治療後に至るまでの対象者の体験を聴取した。その結果、すべての女性が乳がん告知による心理的動揺を受ける中で情報を求め、妊孕性温存の意思決定に苦慮していることが明らかになった。また、挙児希望のある女性だけでなく既に子供がいる女性や以前から子どもを希望していなかった女性であっても乳がん診断がきっかけとなり子を持つことへの価値観の揺らぎや女性としての機能に対する喪失感を自覚していた。女性における妊娠、出産は個人のライフプランや価値観が大きく影響するものであるが、乳がんの診断によって新たな価値観の芽生えや揺らぎが生じることもあることから、精神的に動揺するがん告知後の時期において乳がん女性が妊孕性温存に関する理解を深め自身の価値観に照らし合わせた意思決定ができるような支援が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は昨年度までの研究に引き続いて質問紙調査とインタビュー調査を行った。インタビューでは対象者への調査を終え現在分析を行っている。アンケート調査は目標達成の目途が立っており、終了次第集計に入ることができる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
アンケート調査とインタビュー調査の結果を踏まえ、国際基準に沿ったディシジョンエイドの草案を作成し、がん看護に従事する看護師をはじめとした医療者、乳がん女性からのフィードバックを受ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により学会への直接参加の回数が少なかった。令和4年度と令和5年度の乳がん患者に対する調査結果を踏まえて意思決定支援ツールを作成する予定であるため、冊子の製作費として計上する予定である。
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