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2023 年度 実施状況報告書

統合失調症患者家族のResilienceに影響する要因の構造的分析と支援の検討

研究課題

研究課題/領域番号 21K10689
研究機関茨城県立医療大学

研究代表者

中村 博文  茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (90325910)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードResilience / 統合失調症 / 家族
研究実績の概要

統合失調症患者の回復を支える大きな要因のひとつに家族があげられる。本研究の目的は,国内の先行研究から統合失調症患者をもつ家族のresilienceを把握し,その強化のためにどのような支援が必要なのか示唆を得ることである。
研究方法として医学中央雑誌Web版を用いて,キーワードを「統合失調症」「家族」「レジリエンス」,期間を2013年~2023年,論文種別を原著論文とした。目的に合致するように選出し,論文全体を熟読し,統合失調症の家族におけるresilienceについて明らかにされている内容を抽出した。検索の結果,7文献が抽出された。
内容を分析した結果,4つのカテゴリーが抽出された。家族のresilienceという内容では,「気持ちを整理する時間」「認知の転換」「コントロール」「ケアの提供に伴う辛さ」というような『家族の気持ちを静める』ということが行われていた。つぎに「病気と対峙」「親としての覚悟」では『病気を受けとめる』ことがresilienceにつながっていた。そして,「継続した支援」「周囲の人からの支援や支え」「人と暖かい交流を持つ」は『暖かみのある継続した支援』とカテゴライズでき,最後に「当事者の成長や当事者が前向きに生活している姿」「社会向かって家族を開く」「希望」は『未来に向かっての再生』というカテゴリーに抽出された。
考察・結論として統合失調症患者の家族resilienceは,病気が発症して家族がその症状に翻弄して,家族が動揺しているような時期に家族の気持ちを整理し,その思いを聞き,家族の思いを汲むような情緒的支援が必要である。そして,そのような支援があるからこそ,明日に向かって歩み出せる力を家族自らが紡ぎだすことができるのではないかと考える。統合失調症の家族におけるresilienceは家族という関係の深さゆえにその支援の柔らかさが求められる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度前半は,統合失調症患者の家族に対して,質問紙調査を行う予定であった。しかし,調査を依頼する家族会等の運営が,新型コロナウイルス感染症の感染拡大により対面での会合が中止になることが多かったため,実際の質問紙調査を行うことができなった。
2023年度後半に入り,徐々に家族会の会合などが,行われるようになり,研究の進捗状況も進んでいる。昨年度後半からは文献検討などを行い,その結果を学会発表することが可能となった。今後調査研究に移行して研究目的を達成していきたいと考える。

今後の研究の推進方策

研究1 研究目的:統合失調症患者家族が日常生活の中で抱えている,問題点や支えになっている事項などを調査し,統合失調症患者の家族レジリエンス尺度開発のための,予備的調査を行い,統合失調症患者家族レジリエンスの実態を把握する。研究対象:首都圏の統合失調症患者家族約100名に対して,質問紙調査を行う。調査内容・方法:調査内容として,一般的なレジリエンス尺度,患者の精神症状,家族の生きがい,日常の生活で困っていること・楽しいと感じることなど,人口統計学的因子;患者・家族(年齢,性別,家族構成,婚姻状況,教育年数,住居形態など)を調査する。
研究2 研究目的:統合失調症患者の家族レジリエンス尺度の開発を行い,信頼性・妥当性を検証し,調査に耐えうる尺度を作成する。研究対象:首都圏の統合失調症患者家族約300名に対して,質問紙調査を行う。調査内容・方法:統合失調症患者家族レジリエンス尺度,一般的なレジリエンス尺度,WHOQOL26(QOL尺度),自己効力感,自尊感情,健康統制感,情緒支援ネットワーク,日常苛立ちごと,患者の病気のこと(病名,発症年齢,入院の回数,精神症状,内服薬による副作用など),人口統計学的因子;家族及び患者(年齢,性別,家族構成,婚姻状況,教育年数,住居形態など)を調査する。

次年度使用額が生じた理由

本研究の家族に対する調査が,新型コロナウイルス感染拡大のため実施できなかったためである。今年度は調査による,物品費,謝金等が発生する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 精神看護学におけるシミュレーション学習前後での対象へのイメージ、感情、態度の変化とリフレクションスキルの関連2024

    • 著者名/発表者名
      長谷川 陽子,中村 博文
    • 雑誌名

      医療保健学研究

      巻: 15 ページ: 1-8

    • 査読あり
  • [学会発表] Literature Review on Resilience in Families of Schizophrenic Patients.2024

    • 著者名/発表者名
      Hirofumi Nakamura
    • 学会等名
      27th East Asian Forum of Nursing Scholars Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] 統合失調症患者の家族におけるresilienceに関する文献検討2023

    • 著者名/発表者名
      中村 博文
    • 学会等名
      第43回日本看護科学学会学術集会
  • [学会発表] COVID-19による精神看護学実習方法の違いにおける学びの比較2023

    • 著者名/発表者名
      阿部準子,渡辺尚子,糸嶺一郎,中村博文
    • 学会等名
      第49回日本看護研究学会学術集会
  • [学会発表] 精神看護学実習における実習形態別学びの特徴2023

    • 著者名/発表者名
      阿部準子,渡辺尚子,糸嶺一郎,中村博文
    • 学会等名
      第43回日本看護科学学会学術集会
  • [図書] 看護学専門分野教科書シリーズ 精神看護学援助論2024

    • 著者名/発表者名
      小俣 直人,近田 真美子,北川 明 編著,中村 博文分担執筆
    • 総ページ数
      314
    • 出版者
      理工図書(東京)
    • ISBN
      9784844609391

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公開日: 2024-12-25  

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