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2023 年度 実施状況報告書

ロービジョン患者の生活を支援するための基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K10697
研究機関共立女子大学

研究代表者

中野 実代子  共立女子大学, 看護学部, 教授 (80364173)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードロービジョン / 語り / 見え方 / 日常生活
研究実績の概要

成人期以降に視覚障害となったロービジョン者30名(男性22名,女性8名,平均年齢67.2歳)を研究参加者として,日常生活における見えづらさや見えなくなる日常生活の体験に関する半構成的面接の実施し,質的記述的研究デザインにて分析を行った。
高齢男性の見え方の語りでは,見ようとすると視野の真ん中に黒いものがボンと中心暗点を表現し,だんだん見えなくなると視力低下が進むことを表現した。日常生活では,中心暗点があるためお茶碗の中のものが見えず,壁やガラスにぶつかり,テレビを見ても必要な情報が得られていないことが語られた。成人男性は,視力低下と中心視野異常の見え方をミストサウナの中にいる感じと表現した。高齢男性と比して,自宅のように同じ環境であれば何とかなるため,自宅での生活は影響がないと語った。一方,仕事の打ち合わせでは,表情が読み取れないため支障が生じる可能性があると語り,他の仕事でも,できることができなくなり,これは無理だなとロービジョンにより仕事を諦めた様子が語られた。
高齢者にとって食事の意義は,栄養面だけでなく生きがいや楽しみ,人との繋がりなどの社会的側面からも重要である(小原,2013)。また、80歳以上の高齢者にとってテレビを見ることは、一人の時に相手となる存在であり,社会情報を入手するために必要なものである(萩原,2022)。ロービジョンとなった高齢男性は、中心暗点によって見たいものが見えないことにより,食事やテレビを見ることのような日常生活における楽しみや生きがいに影響していたことが明らかになった。
高齢であっても男性の生きがいは仕事(柴崎,2020)であり、離職により心身の健康に影響が出る(南,2016)とあるが,成人男性にとって仕事ができなくなることは社会的役割の喪失に繋がるだけでなく,生活に影響するため,就労を継続するための支援の必要性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究協力施設の新型コロナウィルス感染症予防対策により、部外者の入館制限が講じられていたことにより、ロービジョンの研究参加候補者に研究参加に関する説明を行う機会を失っていたことが理由として挙げられる。

今後の研究の推進方策

研究協力施設の眼科医及び視能訓練士の協力は得られているため、日常生活見え方尺度(仮称)の作成と予備調査並びに本調査を行うとともに、学術集会にて研究成果を公表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

2022年度まで研究協力施設の新型コロナウィルス感染症予防対策により、部外者の入館制限が講じられてたいたことにより、研究全体の進捗状況に遅れが生じたため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 黄斑ジストロフィーによりロービジョンとなった成人男性の語り2023

    • 著者名/発表者名
      中野実代子・田村果帆・内野めぐみ
    • 学会等名
      第39回日本視機能看護学会学術総会
  • [学会発表] 加齢黄斑変性でロービジョンとなった高齢女性の語り2023

    • 著者名/発表者名
      中野実代子
    • 学会等名
      第43回日本看護科学学会学術集会

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公開日: 2024-12-25  

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