研究課題/領域番号 |
21K10710
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大達 亮 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10760796)
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研究分担者 |
矢田 浩紀 山口県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (80644442)
安達 圭一郎 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90300491)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | negative capability / 精神科看護師 / 不確かさ / リカバリー |
研究実績の概要 |
精神科看護師は複数の不確かさを抱えながら実践をしている。本研究では、不確かさへの対応の方略として“negative capability”という概念に着目する。negative capabilityは「不確かさや懐疑の中にいられる能力」とされるが、明確な定義付けには至っていない。本研究では長期入院患者のリカバリー事例についてインタビュー調査を行い、精神科看護師のnegative capabilityの概念構築と獲得プロセスの解明を目指す。本研究の目的は、精神科看護師のnegative capabilityの概念構築およびnegative capabilityの獲得プロセスの明確化である。これまでnegative capab ilityは元々アートなどの創作や創造を支える概念として,その存在の可能性が言及されて久しいが、今なお多義的である。本研究においては精神科看護師が長期的に患者に関わる中でどのようにケアを維持・発達させているのかという点から、精神科看護師のもつnegative capabilityという力を取り出し、概念化することを目指している。現在、精神科看護師の長期的なケア実践に関するインタビュー調査が進行中である。現在4名の精神科看護師へのインタビュー調査を実施したが、長期に及ぶケア実践の中で、自分以外の外的な要因をケアに転化・活用することによってケアへのモチベーションの維持や現状への懐疑、それにもとづくケアの進展が行われている状況が存在した。また精神科看護師にとって、他者である別の精神科看護師がもたらす転機の存在も象徴的に語られていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定であったインタビュー調査を実施できており、今後もインタビュー調査の予定も明確になるつつあるため。また分析元となるインタビューの逐語録も完成しており、今後は分析をすすめながら、新しいフィールドの開拓も可能であると考えるため、概ね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は病棟における看護実践のインタビューデータの分析を進めながら、比較対象として病棟以外の看護実践の調査についても実施していく予定である。また分析の中から精神科看護師の長期的な実践を支える要因を検討するなかで、精神科看護師の"negative capability"概念の構築を質的に捉えることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定されていたインタビューがオンラインインタビューとなったため、それに伴う旅費の減額と消耗品の増加が生じた。
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