研究課題/領域番号 |
21K10715
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
石貫 智裕 札幌医科大学, 保健医療学部, 研究員 (50895076)
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研究分担者 |
原田 敬介 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00560004)
升田 好樹 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10244328)
水口 徹 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (30347174)
大柳 俊夫 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (70177020)
成松 英智 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70295343)
巽 博臣 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (70404613)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | QOL / ICUダイアリー / ウェアラブルデバイス / IoT機器 / 睡眠 / RCSQ / 不安 / 電子情報収集 |
研究実績の概要 |
ICUダイアリーが重症患者の精神状態やQOLに与える影響を検証するためにメタ解析を行った。ICUダイアリーを使用したRCT研究は5件が該当した(#CRD42020198973)。対照群は一般的なケアが行われ、アウトカムは精神状態についてHADS (不安・抑うつ)とIES-R (PTSD)、QOLについてSF-36 (PCSとMCS) が使用された文献を採用した。メタ解析の結果、ICUダイアリーにより不安は有意に改善することが明らかとなった(P=0.01)。一方で、抑うつ (P=0.05)とPTSD (P=0.10)は改善しなかった。また、SF-36はPCS (P=.28)も MCS (P=0.35) も改善しなかった。よって、ICUダイアリーのみの介入では重症患者の精神状態やQOLに対する効果が十分でないことが明らかとなった。 ウェアラブルデバイスから得られる睡眠データの精度の検証、および従来の睡眠評価方法 (RCSQ) との関連の検証を目的にパイロット研究を実施した。2名の対象者が30日間FitbitとGo2sleepを装着し、RCSQとともに毎日データを収集した。Fitbitの睡眠スコア (平均値±標準偏差) は77.93±7.42、睡眠時間 (分) は376.23±82.85だった。また、Go2sleepの睡眠スコアは73.83±19.73、睡眠時間 (分) は358.79±129.60だった。さらに、RCSQは47.01±10.52であった。Fitbitの睡眠スコアとRCSQの相関係数は0.88 (P<0.001)、決定係数は0.78であった。この結果から、ウェアラブルデバイスはGo2sleepよりもFitbitのデータの方が精度が高いことが明らかとなった。Fitbitのデータは従来の評価方法との相関も強く、睡眠研究に十分耐えられることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、オンラインでのデータ収集を担うHMシステムはプログラミングをほぼ完了し、本年度内に臨床で運用を開始する予定である。ICUダイアリーの効果検証、ウェアラブルデバイスから得られるデータの精度検証は前年度に完了し、臨床運用が十分可能であることを確認している。
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今後の研究の推進方策 |
HMシステムにウェアラブルデバイスデータが集積されるよう、APIを使用したデータ転送システムを実装する。本年度は、HMシステムの臨床運用を予定し、円滑な症例登録が行われるように、関係部署にミーティングや検討会を予定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度はシステム開発・ウェアラブルデバイスのパイロット研究を実施したため、主に物品費に使用する機会が多かった。本年度より実臨床での研究が開始されるため、物品費がさらに必要になることに加え、人件費・旅費の支出も増える。そのため、次年度使用額が生じた。
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