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2021 年度 実施状況報告書

喉頭摘出者の食道発声トレーニングプログラムの構築と効果の検証

研究課題

研究課題/領域番号 21K10721
研究機関愛知県立大学

研究代表者

渡邉 直美  愛知県立大学, 看護学部, 助教 (40736782)

研究分担者 鎌倉 やよい  日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, その他 (00177560)
三浦 由佳  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (30791587)
真田 弘美  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50143920)
深田 順子  愛知県立大学, 看護学部, 教授 (60238441)
坂上 貴之  慶應義塾大学, 文学部(三田), 名誉教授 (90146720)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード喉頭全摘術 / 食道発声 / トレーニングプログラム / シングルケースデザイン / 失声へのケア
研究実績の概要

目的:食道発声熟達者が食道発声時に原音を生成する部位(新声門) を超音波診断装置(エコー)によって可視化し、発声時の身体の使い方を生体信号測定システム(Power Lab)で評価し、食道発声モデルを構築する(目的1)、食道発声の訓練法の効果をシングルケースデザインに基づき実験的に検証し、食道発声トレーニングプログラムとして確定する(目的2)、その過程における訓練者の「新声門」の形成過程及び構音のための口唇・舌の動きの獲得プロセスを可視化して明らかにする(目的3)。
目的1:【方法】対象者5名。術式は、全員が喉頭全摘術であった。対象者に対し、エコーを用いて食道発声時の新声門部位の動きを観察し、Power Labを用いて胸郭と腹部の動き、新声門周囲筋及び腹筋の筋電図、気管孔・口・鼻からの気流の温度を連続測定した。【結果】超音波画像から、新声門の完成形が確認された。Power Labの結果から、頸部前面の筋肉及び腹筋によって発声がコントロールされていた。
目的2:【方法】対象者5名。術式は、対象者A・E:喉頭全摘術、B:下咽頭喉頭頸部食道切除術(胃管形成)、C:喉頭全摘術(空腸再建)、D:喉頭全摘術(空腸再建+気管空腸シャント)であった。食道発声法の課題分析に基づきトレーニングプログラム試案を制作し、これを独立変数、発声音の明瞭度得点を従属変数とするシングルケース実験デザインを実施した。【結果】Bは食道発声を獲得し、A、C、Dはプログラム試案の最終段階(文章朗読)に到達した。Eは4か月の訓練で構音訓練の段階に入った。プログラム試案の効果は、視覚的判断及びTau-U検定で有意差を認めた。
目的3:【方法】目的2の対象者5名に対し、原則として2週間に一度エコーを用いて経時的に観察した。【結果】食道発声の獲得状況に応じて、新声門の形状が変化するプロセスが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

目的1:新声門の完成形としての形態を確認するために、喉頭全摘術後に食道発声を既に獲得し使いこなしている熟達者5名を対象に、撮影したエコー画像の数量化を行っている。エコー画像の数量化には、工学系の知識が必要であるため、工学系の教授及び准教授に協力を求め、測定方法の開発を検討している。
また、食道発声時の身体の使用部位とタイミングに関する生体信号測定システム(Power Lab)による測定を終了した。その結果をモデルとし、目的2の訓練時に対象者へフィードバックを行っている。
目的2:対象者Bは食道発声トレーニングプログラム試案を完了したこと、対象者A、C、Dは訓練の最終段階に到達したこと、これらの食道発声獲得状況から、同プログラム試案の効果を確認した。現在は、最終ゴールに向けて訓練を続行している。さらに、対象者Eにプログラム試案を実施し、その妥当性を最終確認している段階である。
目的3:目的1の食道発声熟達者の新声門のエコー画像を最終形のモデルとし、食道発声の獲得状況に応じて、新声門の形状等が変化するプロセスを検討した。その結果、対象者AとBは、視覚的に2段階の変化が確認されたが、食道発声熟達者の新声門のエコー画像と比較すると、少なくともあと1段階の変化があることが推察できた。現在、撮影したエコー画像の数量化を行っている。
以上から、現在までの進捗状況として、おおむね順調であると言える。

今後の研究の推進方策

目的1:食道発声熟達者のエコー画像から新声門部位の測定方法を開発し、新声門完成形のモデルを作成する。さらに、Power Labで測定した食道発声時の身体活動のパターンから、食道発声身体活動モデルを作成する。この2つのモデルから、食道発声モデルを構築する。
目的2:対象者A、C、Dに対して、食道発声トレーニングプログラム試案に基づく訓練を継続する。さらに、対象者Eへの訓練をとおして、食道発声トレーニングプログラム試案の一連の妥当性を評価し、「食道発声トレーニングプログラム」として確定する。
目的3:目的1で作成した新声門完成形モデルになるまでのプロセスについて、3段階の変化があると推測された。そのため、食道発声を獲得した対象者Bも含め、2週間に一度のエコーによる観察を継続する。また、食道発声の獲得状況と新声門の形状の変化の関係についても、エコー画像および音声データから数量化し、新声門完成形モデルまでのプロセスを明らかにする。さらに、対象者Dはシャント発声であり、新声門が形成されていなくても原音を発声することができる。対象者Dの新声門部位の変化のプロセスについても経時的に観察し、食道発声で音が出るメカニズムについて、文献検討も行い明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

新声門および舌の動きを観察するために使用している超音波診断装置(FUJIFILM FC1、プローブC35)について、富士フィルムとレンタル契約する予定だったが、レンタル期間に上限があることが判明し、2年間のリース契約に変更することになった。そのため、執行計画も変更する必要があり、次年度の使用が生じた。
次年度の使用分は、残りのリース契約料に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 食道発声における構音訓練の効果2022

    • 著者名/発表者名
      渡邉直美、鎌倉やよい、深田順子、坂上貴之
    • 学会等名
      第7回医療行動分析学研究会

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公開日: 2022-12-28  

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