研究課題/領域番号 |
21K10737
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
山崎 智子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 非常勤講師 (10225237)
|
研究分担者 |
内堀 真弓 自治医科大学, 看護学部, 教授 (10549976)
浅野 美知恵 国際医療福祉大学, 成田看護学部, 教授 (50331393)
本田 彰子 国際医療福祉大学, 成田看護学部, 教授 (90229253)
佐々木 吉子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (90401356)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | グリーフケア / 地域共生 / サポートモデル |
研究実績の概要 |
本研究は、一般市民が死別後のグリーフやそのケアについて理解し、死別を経験した人々とこれから死別を経験することになる人々が、共に助け合ってグリーフを癒していく地域共生社会の土壌作りのシステムを構築していくための基礎研究を行う。本研究の1部は、グリーフケア実施者が抱える困難、また死別者が抱える困難や求める支援などについて調査で明らかにする。 その結果をもとに第2部では地域においてグリーフを学び支えあえるモデルとしてサポートプログラムを作成、実施し、精錬を図るものである。 <研究成果>2023年度後半より面会制限緩和や会の開催などが徐々に行われつつあり、施設・事業所におけるグリーフケアの全国調査を行った。1653か所に調査票を送付し、391通の返送(回収率23.65%)を得た。調査票でインタビュー調査への希望を募り、70名から連絡先を得て、5名の面接調査を終えている。 調査票の結果では、事業所や施設において、死別後のグリーフを見据えた本人・家族が悔いを残さないためのケアや死亡直後のグリーフケアは90%前後で行われていた。しかし死別後のグリーフケアは20~50%の実施率であった。死別後のグリーフケアの課題は、人員確保やスタッフの教育・支援が明確に見えた。死別後のグリーフケアへの期待は、家族の経過が知れる、スタッフのグリーフケアに役立つと85%前後で回答があり、スタッフのケアにも大きな期待があることが見えた。地域でのグリーフケアへの要望や意見は、気軽に遺族がケアを受けられる場の提供とピアサポートへの期待、グリーフケアを組み込める診療報酬改定への希望、地域包括ケアで発展させる希望などが聞かれた。 今後のプログラム作成にあたって、調査では医療者の持つ困難と求める支援が明確になり、支援者、支援を受ける人ともに抱える課題や困難について有用な内容を得ることができ、引き続き調査を進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度、2022年度と新型コロナウイルス感染症のため、医療者やサポートグループ主催者へのインタビューやフォーカスグループインタビュー、遺族へのインタビューが難しい状況にあった。2023年5月より5類へ移行し、後半より徐々に面会制限の緩和や遺族会等が実施されることになり、グリーフケアの実態調査の基礎調査を準備した。しかし共同研究者の施設での研究開始許可に時間がかかったこと、共同研究者の異動等で倫理審査の変更審査を受ける必要がでたことで、2023年度初めに予定した調査票配布が送れ、調査の開始が2024年初めとなり、それに伴いインタビュー調査も開始が遅れてしまった。2024年度も基礎調査を継続し、分析が終了次第プログラム立案、介入研究について計画を立案する予定である。これらのことから研究の達成度は「遅れている」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、グリーフケア実施者とグリーフケアの受け手の遺族へのインタビュー調査を継続し、また国内外のサポートグループや支援の実際を視察する。その結果をもとにして地域においてグリーフを学び支えあえるモデルとしてサポートプログラムを作成する。作成した支援プログラムを実施し、効果を検討し、「地域で共にグリーフを癒すサポートモデル」の精錬を図り、支援方略を示す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
国内外のサポートグループ視察が困難で、また現場が調査に応じられる状況になかったことや死別者へのアクセスも難しく、本格的に調査の開始が困難だったため、次年度使用額を生じさせた大きな理由である。 使用計画として、2024年度は、研究体制の再構築を進める。調査及びサポートプログラムの構築・実施、学会等への参加、投稿に関する費用、支援プログラムに関連する機材の調達や資料等の作成、専門家による知識提供に関する増額が予測される。
|