研究課題/領域番号 |
21K10744
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
田上 博喜 宮崎大学, 医学部, 助教 (00729246)
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研究分担者 |
吉永 尚紀 宮崎大学, 医学部, 教授 (80633635)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | メタ認知トレーニング / 精神科訪問看護 / 統合失調症 |
研究実績の概要 |
統合失調症では、特有の認知のバイアス(偏り)が、症状の維持・悪化に影響を及ぼし、当事者のQOLを著しく低下させる。認知バイアスに対する有効な心理支援としてドイツで開発されたメタ認知トレーニング(Metacognitive training: MCT)があるが、提供場面が限られ普及が進んでいない。一方、精神科訪問看護は生活に密着した援助と並行し、専門的心理支援を提供する上で活躍が期待されているが、十分な時間確保が困難である。 そこで本研究では、限られた訪問看護の時間で実施・継続が可能なMCTモバイルアプリを活用した心理支援の構築を目指し、①統合失調症に対する在宅での既存の有効な心理社会的支援を明らかにするためのシステマティックレビュー、②日本語版MCTアプリの作成およびレビュー結果を踏まえた改良、③作成したMCTアプリを活用した訪問看護による心理支援の有用性検討を行う。 2022年度は、システマティックレビューのプロトコル作成・公開した。現在、統合ガイドライン(PRISMA声明)に準拠し、独立した2名によるデータベース検索・文献の選定・データ抽出を行った後に、量的・質的なメタ解析を実施中である。また、精神科訪問看護における心理社会的介入の実施に当たり、訪問看護特有の困難が想定され、精神科訪問看護師へのインタビューを通してその詳細を検討した。精神科訪問看護師へのインタビューの結果、看護師は訪問看護の利用者に対して、【認知行動療法を習得する上での困難】や【認知行動療法を訪問看護師が利用者に適用する上での困難】を感じており、また、【提供を困難にする訪問看護特有の機能と構造】を認識していることが明らかとなった。これら提供上の課題の克服や、非常事態下での継続的な支援に向け、提供方法の工夫や、ICTの活用の必要性についての妥当性が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
システマティックレビューについては、プロトコルの作成・公開が完了し、作業は順調に進行している。 メタ認知トレーニングセルフヘルプアプリ「COGITO」の翻訳については2022年度に完了予定であったが、進捗が遅れ現在作業中である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、まず①統合失調症に対する在宅での既存の有効な心理社会的支援を明らかにするためのシステマティックレビューを進めている。並行して、②日本語版MCTアプリの作成およびレビュー結果を踏まえた改良について現在作業中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要な経費について、別予算から支出することができた。 次年度は、翻訳費や論文掲載費、人件費等に支出予定である。
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