研究課題/領域番号 |
21K10773
|
研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
深田 順子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (60238441)
|
研究分担者 |
鎌倉 やよい 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, その他 (00177560)
渡邉 直美 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (40736782)
米田 雅彦 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (80201086)
坂上 貴之 慶應義塾大学, 文学部(三田), 名誉教授 (90146720)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 頭頸部がん / 化学放射線療法 / 摂食嚥下障害 |
研究実績の概要 |
目的:化学療法・放射線療法同時併用療法(CCRT)開始前、治療開始から2週間後、4週間後、6週間後、治療終了1か月後、3か月後、6か月後、9か月後の急性期から晩期における摂食嚥下機能を明らかにする。 方法:CCRTを予定している中咽頭・下咽頭・喉頭癌患者に対し、①急性期の有害反応である口腔粘膜炎、放射線性皮膚炎は有害事象共通用語規準日本語訳JCOG版を用いて、口腔・咽頭・頸部の皮膚の疼痛はNRSを用いて測定した。②唾液の機能である緩衝作用pHと抗菌作用をもつLactoferrinを測定した。唾液はサリキッズを用いて採取され、採取後に各々pHメータ、LactoferrinをELISA法にて測定した。③摂食嚥下機能は、舌圧を舌圧測定器と舌圧プローブを用いて測定し、改訂水飲みテスト、反復唾液嚥下テスト、頸部聴診にて測定した。食物形態はMTFスコアを用い、④栄養状態は骨格筋量をInBody770を用いて、⑤QOL はEORTC QLQ H&N-43(日本語版)を用いて測定した。 結果:研究実施施設の倫理審査委員会の承認を得て、2021年10月よりデータ収集を開始し、条件を満たす15名に説明し、14名から同意を得た。そのうち研究途中で死亡、中止が各1名あり、12名のデータを縦断的に収集している。男性10名、女性2名、平均年齢58.3±8.0歳、中咽頭癌9名、下咽頭癌3名。CCRTは、全員がCDDPを1回/4週を3回、IMRTを2Gy/回を35回、合計70Gy施行中である。治療開始前から治療終了1か月後まで8名のデータを得た。治療の経過に伴い口腔・咽頭の粘膜炎が出現し、治療開始から6週間後に嚥下時における口腔・咽頭痛のNRSの平均値が各々2.6、5.9となり、治療終了1か月後では軽減傾向にあった。舌圧も治療開始から6週間後までに徐々に低下したが、治療終了1か月後では増加傾向にあった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年10月からデータ収集を開始したが、条件を満たす対象者が15名/7か月と少なく、進捗状況としてはやや遅れていると判断した。その理由は、2022年1月より研究実施施設において新型コロナウイルス感染症の拡大から入院制限が繰り返され、研究対象患者の入院困難や他施設への紹介などから研究対象者が得られないためである。
|
今後の研究の推進方策 |
研究実施施設の新型コロナウイルス感染症の状況をふまえて可能な限りデータを収集できるようにする。また、データ収集期間を延長してデータ収集する。同時に国内外文献検討からCCRT中・後の摂食嚥下訓練の内容について検討をすすめていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2021年10月からデータ収集を開始したが、2022年1月より研究実施施設において新型コロナウイルス感染症の拡大から入院制限が繰り返され、研究対象患者の入院困難や他施設への紹介などから研究対象者が得にくい状況となった。そのため、データ収集が遅れ、唾液の分析に必要なラクトフェリンなどの購入予定数を少なくしたこと、共同研究者の学会の参加なども少なかったことが理由として考えられる。 次年度は引き続きデータ収集を継続し、感染予防のために必要な物品、舌圧・骨格筋量・唾液採取に必要な物品などを購入する予定である。また、国内外の文献検討のために文献複写・書籍の購入、関連学会への参加費、研究会議を行うための交通費などに使用する予定である。
|