研究課題/領域番号 |
21K10774
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
片岡 千明 (近藤千明) 兵庫県立大学, 看護学部, 講師 (40336839)
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研究分担者 |
柴田 真志 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (00254467)
木村 ちぐさ 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (00803991) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | フットケア / 動脈硬化 / 予防 / 看護 / 末梢動脈疾患 |
研究実績の概要 |
地域住民を対象としたフットケアを用いた動脈硬化予防の専門まちの保健室「看護師による生活習慣病と足の相談」の効果検証に取り組んだ. 地域住民29名(男性8,女性21,平均年齢73.8歳)を対象とし,看護相談は2か月~3か月ごとに合計4回実施した.看護相談では,毎回,体重,血圧および動脈硬化度を測定した.1回目と3回目は足の観察や足の手入れ(足浴,角質削り,爪切り)を,2回目にはロコモ度(立ち上げりテスト,2ステップテスト,握力)の計測と日常生活における運動の提案を行った.4回目では健診データの見方について説明を行った.さらに,看護相談参加日に,小型加速度計(KSN-200)の24時間装着を1週間依頼し,活動量および睡眠状況について,次の看護相談でフィードバックを行った.看護相談の初回実施前および4回目終了後に,セルフケア能力(SCAQ-30)とセルフケア行動(SDSCA)を測定した. 結果、介入前後において,SCAQ-30得点(前113.8±17.4 vs 後121.8±16.8,t=2.75,p<0.05)およびSDSCAの運動に関するセルフケア行動得点(前7.2±5.9 vs 後9.1±4.6,t=2.70,p<0.05)は有意に高まった.また,血圧および動脈硬化度(PWV)の平均値には有意な変化は認められなかったが,PWVの上昇率は,収縮期血圧の上昇率(r=0.519, p<0.01)および拡張期血圧の上昇率(r=0.465, p<0.05)と相関関係が認められた. 本介入により,セルフケア能力および運動に関するセルフケア行動が有意に高まった.これは,フットケアや身体の計測,体力測定など直接身体に働きかけたことや,小型加速度計の装着によって客観的に自身の生活状況や活動状況を捉えられるように関わったことで,参加者の意欲を高め,セルフケア能力を向上させたと考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始時の2021年度はコロナ禍であり、病院でのデータ収集を実施することが難しく、介入対象者を生活習慣病を持つ地域住民に変更した。また共同研究者である病院勤務の看護師とともに介入を行う予定であったが、研究への参加が難しく研究者2名で介入を実施するなど研究計画の修正を行う必要が生じた。しかし、2023年度までに、地域住民40名を対象に4回の介入を実施し、介入前後で動脈硬化に関するデータやセルフケア能力、セルフケア行動に関するデータの測定を行い、介入効果を検討することができた。 介入効果に関する研究成果について2件学会にて発表した。 現在結果の論文投稿準備も行っており、計画は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
①介入研究によって得られたデータの分析を行っている。 介入効果(outcome)や影響因子など様々な視点で分析を行い、成果公表を行っていく。 ②開発したケアプログラムのケアを受けた対象者に、インタビュー調査を行いケアの改善点や対象者のニーズを明らかにしていく。また、看護師を対象に開発したケアプログラムについて紹介し、実行可能性を含め専門家の意見を収集する。 これらを通して、ケアプログラムを完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
介入に使用する物品(消耗品等)の購入金額が予定額より安価に購入できたこと、また頃感染症対策として消毒用品やマスク、ゴーグル等の購入を予定していたが、感染症5類に引き下げとなり、購入不要となったため残額が生じた。
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