研究課題/領域番号 |
21K10780
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
大木 友美 昭和大学, 保健医療学部, 准教授 (60383551)
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研究分担者 |
増山 英理子 昭和大学, 保健医療学部, 准教授 (90459214)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 遠隔集中医療 / ICU看護師 |
研究実績の概要 |
我が国では、急速に遠隔医療システムが導入されているが、遠隔医療に関して医療従事者を含む国民全体のリテラシー不足があり、遠隔医療での医療者の役割を明確にしていく必要がある。遠隔医療は、集中治療(以下,ICU)分野でも導入され、患者回復アウトカムへの期待が高い。さらにCOVID-19を機に導入が加速化してきている。しかし、まだ導入初期のため医療者の役割は明確でなく、ケアモデルは未開である。遠隔集中治療(以下,遠隔ICU)において、看護師の参入も始まっているが、国内では前例がなく、今後、看護ケアモデルを開拓していく必要がある。そこで本研究では、「遠隔集中治療における患者回復アウトカムへつながる看護ケアモデルの構築」を行うことを目的とする。これは今後、遠隔ICUが急速に発展していく中で、実践可能なモデルを発展させていく上での有用な試料となり得る。 令和3年度は、分担研究者と新たな研究動向を確認するために、最新文献の検討を行った。ICUには看護師だけでなく、集中治療に関わる他職種は医師の他、理学療法士、作業療法士などもケアに参入しており看護師と協働している。よって、看護ケアモデルの構築の際に、理学療法士などのコメディカルの影響も検討する必要が示唆された。また遠隔ICUを導入している病院で主に遠隔ICU看護師のリーダーを担当している1名の研究協力者を確保した。現在のICUにおける遠隔システムの活用状況、専属看護師の運用状況、専属看護師の教育への課題、遠隔ICU活用による看護へのメリット等についてインタビューを行い、問題点や今後の課題を抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、重症度の高い患者ケアを行うICUは常に緊迫感を抱えている。感染症がある患者をICUで管理することは、他の重症患者への影響も大きく、通常よりも多くの人数でケアに当たっている。令和3年度は重症化しやすいデルタ株の流行に加え、感染力の高いオミクロン株の流行で、医療者本人や医療者の家族のコロナ罹患による濃厚接触でICU看護師の従事可能な人数が不足し、看護師の必要人数が不足した事態に陥った。このような背景があり、調査対象の遠隔ICUが稼働を停止した。コロナ感染症の今後の流行を監視し、遠隔ICUの運用開始を待つと同時に、全国的な調査準備をする。
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今後の研究の推進方策 |
遠隔ICUだけでなく一般ICUに従事する看護師の遠隔ICUへの期待、現在のICUケアの実態調査、およびICUに勤務する理学療法士、作業療法士との関わりと協働について調査するための文献検討及びアンケート調査実施を目指す。また、ケア時の看護師やコメディカルの視線調査を行い、ケア時の観察視点を明らかにし、遠隔ICU看護師育成への教育視点やケアモデルへ活かせるような調査を実施する。この調査の対象となるICU看護師は、このコロナウイルス流行下でどの病棟の看護師よりも疲労感、疲弊感は甚大であり、心身ともに苦痛を生じている状況である。コロナウイルス流行も以前よりは減少してきているが、新たな型の感染者増加が報告されており、また重症患者に対応するICU看護師へのストレスも大きいことが予測される。十分な倫理的配慮のもとで調査時期を決定していく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は、コロナウイルス感染症の影響を多大に受けた。調査対象者がコロナウイルス罹患患者を対応するICU看護師であるので、調査時期を十分に検討する必要があった。次年度は、流行の状況を把握しながら、アンケート調査など影響の小さい調査から取り組んでいく。
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