研究課題/領域番号 |
21K10804
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
籏持 知恵子 大阪公立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (70279917)
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研究分担者 |
南村 二美代 大阪公立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (00634015)
戸沢 智也 獨協医科大学, 看護学部, 助教 (10822603)
中村 雅美 大阪公立大学, 大学院看護学研究科, 講師 (30802425)
武田 真弓 山梨県立大学, 看護学部, 助教 (50881512)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 慢性心不全患者 / 高齢者 / 症状管理 / 援助要請 |
研究実績の概要 |
本研究は高齢慢性心不全患者の症状管理に関わる援助要請の実態に基づく、援助要請プログラムを開発、試行し実装化への課題を検討することを目的としている。本年度は、昨年度十分でなはかった高齢慢性心不全患者へのインタビュー結果をまとめ、援助要請の実態を報告するとともに、慢性心不全患者の看護に関わる熟練看護師8名へのインタビュー調査を行い、看護師からみた援助要請の内容と、援助要請に関わる影響要因を質的に分析した。 その結果、熟練看護者がとらえる症状管理に関わる援助要請内容は「症状を評価することに関わる支援」「急性増悪時の受診の支援」「症状悪化時のできなくなった日常生活行動への具体的支援」「日常のQOLを維持するための方法の相談」「依頼しやすい環境調整に関わる支援」などであった。 そして援助要請行動に関わる影響要因は個人的要因として「病気に関する考え方」「援助要請に関する価値感」「これまでの医療の経験」「居住環境」「コミュニケーション能力」などであり、要請決定に関わる要因は「日常生活行動の低下」「困りごとの程度」「心不全症状の重篤度の認識」「援助を求める症状に関わる基準」、支援者に関する要因としては「支援者の有無」「支援者との関わりの頻度」「支援者への信頼の程度」などがインタビュー調査から見い出された。 高齢慢性心不全患者では援助を求める症状に関わる自分なりの基準を持っており、それは患者の個人的価値観やこれまでの医療や援助を受けた際の経験などに影響を受けることも示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
一昨年のコロナCOVID-19の影響からの研究が遅延し、2022年度は十分に遅れを取り戻すことができなかったが、患者側だけでなく、熟練看護師からもインタビューを行ったことにより、援助要請行動への多様な影響要因が見い出された側面もあった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度明らかなった援助要請の影響要因や被援助指向性、症状管理に関わる援助要請行動などの関連を量的研究において明らかにしていく予定であり、援助指向性タイプや援助要請に関わる要因別の行動傾向により、その支援について検討する基盤とする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はCOVID-19の影響もあり、インタビュー調査も対面ではなくZoomを使用したものとなり、学会参加においてもオンラインでの参加となったため、旅費等が不要となった。また量的調査が次年度に持ち越しになり、その分の調査費用(データ収集業者委託費用、統計ソフト購入費用等)の執行がが次年度に持ち越しになった。次年度に量的調査に係る費用として支出予定である。
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