研究課題/領域番号 |
21K10808
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
濱田 千江子 順天堂大学, 医学部, 教授 (50291662)
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研究分担者 |
桑村 淳子 順天堂大学, 保健看護学部, 講師 (80615815)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 維持血液透析 / 通信環境 / ヘルスリテラシー / フレイル / 健康管理 |
研究実績の概要 |
2022年度は、研究テーマの1つ目の仮説である「維持血液透析患者は、健腎者に比べ通信機器の利用が低く、ヘルスリテラシーが劣る」と、「通信機器利用が低い患者群は、ヘルスリテラシー並びに臨床経過が悪い」の検証として「維持血液透析患者における通信環境とフレイルや透析管理に関連するヘルスリテラシーとの関連性についての多施設共同研究」を5施設共同研究として実施し、200例超の症例から通信環境、ヘルスリテラシー、フレイルならびに臨床データを収集し、データの解析を行った。 調査結果から、パソコンを保有者101名、スマートフォン保有者148名(70.1%)であり、いずれも有しない患者は66人(31.2%)であった。利用用途は、通話、メール、Web閲覧、ネットショッピングが多く、健康情報の収集源は65.2%が検索サイトからで次いで医療者からであった。健康情報収集に際してのインターネット利用状況(eHealth Literacy)は、総得点40点で26.4±7.1点と低く、特に情報の入手や評価のポイントが低い傾向であった。通信環境良好群134名と不良群56名と無回答群21名の3群で透析期間、原疾患、脳心血管疾患や心不全、悪性腫瘍の既往に差異は認めなかった。不良群は、他群に比較して年齢が高く、ヘルスリテラシーの情報入手能力が低く、握力や血清アルブミン値が有意に低かった。 この結果は2023年6月の日本透析医学会で「慢性透析患者の情報通信環境の現状についてー多施設共同研究ー」、「慢性透析患者の情報通信環境と健康管理の現状~多施設共同研究~」、他共同研究者2名が発表予定である。これらの結果を踏まえ、2023年度はフレイル予防を含めた体調管理アプリを作成し、維持透析患者の体調管理向上に対する介入検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査結果から、患者群の通信機器利用環境に健腎者との大きな差異を認めなかったが、ヘルスリテラシーにおいて入手・判断が患者の臨床経過との関連性を認めたため、最終ステップのアプリ利用による介入研究を準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
維持血液透析患者に対して、服薬をはじめとする健康管理アプリを利用した介入の臨床的意義を検証する予定であるが、介入効果を判定するための観察期間を6か月以上とするため、研究期間の延長が見込まれる。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年後実施した調査研究の結果から、最終研究計画のアプリを使用した介入研究の実施が必要となったため、アプリ準備の費用に予算を集中させるため、2022年度予算を次年度に繰り越した。
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