研究課題/領域番号 |
21K10810
|
研究機関 | 駒沢女子大学 |
研究代表者 |
岡 京子 駒沢女子大学, 看護学部, 助教 (30845045)
|
研究分担者 |
畠山 卓也 駒沢女子大学, 看護学部, 准教授 (00611948)
松尾 真規子 駒沢女子大学, 看護学部, 講師 (10301706)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 排泄ケア / 精神科入院患者 / おむつ / 看護介入 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、精神科における排泄ケアの特異性を明らかにすること、精神科入院病棟でのおむつ使用状況の実態を明らかにし、おむつ離脱に向けた看護介入モデル・精神科に特化した排泄アセスメントツールの作成を目指すことである。 過去10年間の国内看護文献で精神科入院患者の排泄セルフケアの回復に焦点があてられた35件の事例研究報告を対象に文献レビューを行った。文献に示された患者39名の排泄セルフケアを低下させる要因は、下剤や浣腸の連用による「排便機能に関連した要因」、多飲水による多尿、尿失禁などの「排尿機能に関連した要因」、身体拘束による体動の制限や多彩な精神症状・身体的理由から排泄動作を取ることができない「排泄動作に関連した要因」、疎通困難や排泄の認識ができないという患者特性による「アセスメントを困難にさせる要因」、患者の易怒性・粗暴性・拒否、意欲低下などの精神症状や看護師の感情的巻き込まれなどの「ケアの提供を困難にさせる要因」という5つに分類された。回復を促す看護介入は7つに分類され、「看護チームの方向性を統一」「排泄の自立に向けた患者との協働関係を構築」「身体的苦痛や不快感の軽減」「排便機能に対するケア」「排尿機能に対するケア」「排泄環境の調整」「患者の支援者・多職種との連携」であった。アセスメントやケアの提供自体が困難であること、行動制限や慢性便秘症に対する多量の下剤の投与といった医療行為も排泄セルフケアを低下させる要因となっていたことが示され、介入が長期になることが多く、これらの文献に示された看護師の感情をチームで整理する場を作ること、患者の意欲を引き出し治療参加を促す協働関係を構築することは重要な方策であると考えられた。一方で、入院中の治療や看護が患者の排泄セルフケアを低下させる要因とならないような予防的な介入方法を検討していく必要があることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
精神科病院に勤務する看護師を対象としたインタビュー調査を実施したが、コロナ禍にあり看護師の人員不足や感染予防などの理由から当初のスケジュールよりもインタビューのケース数を集めるのに時間がかかった。当初30名の看護師のインタビュー調査を目標としていたが、24名でインタビューを終了とし、インタビューで語られた34ケースについて分析作業を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
精神科に勤務する看護師24名からインタビューで語られた34ケースについて、おむつ使用要因、おむつからの離脱を困難にさせる要因、離脱を促進する要因を分析、抽出し、精神科における排泄ケアの特異性を明らかにする。 インタビュー調査の結果をもとに質問紙を作成し、国内の精神科病院と精神科病院に勤務する看護師を対象とした実態調査を行う。日本の精神科病院でのおむつ使用状況を明らかにするとともに、おむつ使用要因とおむつ使用が慢性化している要因、おむつ使用状況との関連を検討し、日本の精神科における排泄ケアの課題を明らかにすることを目的とする。目標回答数は精神科病院200施設、看護師1000名である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
精神科病院200施設、精神科病院に勤務する看護師1000名を対象とした質問紙調査を今年度実施する予定であったが、研究の進行が遅れており実施できなかったため、次年度使用額として残った。2023年度調査を実施するための物品費、郵送費、人件費、謝金として使用する計画である。
|