研究課題/領域番号 |
21K10818
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
蝦名 康彦 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (90322809)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 産後うつ病 / メンタルヘルス / ネットワーク分析 |
研究実績の概要 |
わが国では,周産期医療および母子保健において,産後うつ病のケアと対応が大きな課題となっている。本研究は,妊産婦の抑うつ不安症状を対象として,新手法であるネットワーク分析を行い,その病態理解の深化へつなげるものである.そして,その知見により現場の支援に関する具体的な提言をすることを目的として計画した. しかし,2021年は新型コロナウイルス感染症の影響により,全国の産婦人科臨床現場でケアの中止・縮小といった多大なる影響がでた.そこで,病院の協力が不可欠である臨床データを用いた多数例での検討に入る前に,予備的検討として既存の公的な大型データセット使用の許可を得て,産後女性の抑うつ不安症状に関するネットワーク分析を実施した.これらは産後の横断的なデータであるといえる.それにより,産褥期の女性に特有といえる抑うつ不安症状のネットワーク構造が,はじめて明らかとなった.そして,ネットワークの中で中心性の高い症状や橋渡し症状が特定された.さらに分娩後の時期(1ヶ月,6ヶ月)による相違,サブカテゴリーによる比較について,詳細な解析へ移行している.なお,解析の途中で,予測できなかったデータ取扱いや具体的な処理方法についての問題が発生したが,ひとつひとつ解決法を見出し,この点でも新たに取得するデータ解析にむけて望ましい状況であるといえる. 一方,臨床の前向きデータとして取得や解析の参考となりうる,コロナ禍の影響を含めた産後うつ病に対するケアの現状について全国調査を2022年5月に行った.その結果はすでに論文にて発表した.産科医療機関におけるコロナ禍の影響は,現在も続いているため,この情報を新データ取得等に活かしていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定している臨床現場でのデータ収集は,コロナ禍により計画遅延が続いている.しかし,その間に既存データの解析を進めたところ,解析方法がほぼ確立した.これにより,次のステップへスムースに移行できるものと考える. また,産後うつ病に対するケアの現状,予防的介入の実態等が明らかになった.その中には,コロナ禍の影響も含まれているため,今後の調査を展開する上でも重要な知見となった.
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今後の研究の推進方策 |
当初予定通り,妊娠中を含めた縦断的なデータの解析を計画する.また,現在得られている知見をもとに,データ取得法に関してもさらなる工夫を検討していく.これらにより、産後うつ病の精神病理を解明し,テーラメイドな支援と対応の確立をめざす.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年は,わが国の周産期医療の現場は,コロナ禍の影響によって,通常行っているケアの縮小や中止など大幅な変更が行われていた.そのため,病院でのデータ収集が非常に困難であり,調査を差し控えたため支出額が見通しよりも下回った. 2022年は,臨床現場の状況を勘案しながら,調査を進めていく予定であり,2021年度の遅れをできるだけとりかえして,当初の2022年の予定研究までキャッチアップを目指している.
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