研究課題/領域番号 |
21K10819
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
武石 陽子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (00586505)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 父親 / 産後うつ / 育児 / 母親 / ワーク・ファミリー・コンフリクト / 育休 / ストレス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、①父親における仕事と家庭でのストレスフルな生活状況、対処行動、支援ニーズを量的に明らかにする評価ツールの開発と②妊娠期から児誕生後1年までの父親のうつ症状とそれに関連する生活状況の同定、および必要な支援の考案であり、2023年度は②の分析を完了し、①として父親へのインタビュー調査を開始した。 ②妊娠末期から産後1か月までアンケートの回答が得られた父親で、正規雇用の者50名を対象として分析した。その結果、妊娠末期から産後1か月にかけてワーク・ファミリー・コンフリクト(仕事と家庭との間の葛藤)が悪化することが、父親の産後1か月時のうつ(EPDS)得点8点以上に関連していることが見出された。また、夫婦関係満足度が低いことが、うつ(EPDS)得点8点以上に関連していた。 ①の結果より、父親にとっては産後うつ病への影響が大きい仕事と家事・育児の両立に焦点を当てて、父親の育児経験についてのインタビュー調査を行っている最中である。現在4名の父親のインタビューから、子どものお迎えの時間までに仕事を終わらせなければならない時間的プレッシャー、定時であがることができない不条理さ/超勤している同僚よりも定時であがってしまう申し訳なさを抱きながら、妻子への気遣いが十分にできていないと感じている様相が伺えた。支援ニーズとしては、事前にというよりも、その時に困ったことを解決できる助言や制度の紹介を希望しており、あくまで自分の仕事と家庭での役割はどちらも遂行していきたいと考えていることが伺えた。対象者を増やし、父親における仕事と家庭でのストレスフルな生活状況を評価できる視点の一般化を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究活動以外にエフォートを割かざるを得ず、①のインタビュー調査を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究環境が整っていないため、研究活動にエフォートを確保することが難しい可能性がある。そのため、①については、インタビューデータの文字起こし、簡単な集計・分類を研究補助員を雇い、少ないエフォートでも効率的に研究を推進できるようにする。インタビュー調査は対面が理想的であるが、出張等移動時間や会場の調整を行う時間を省き、オンラインでのインタビューを活用していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は研究の進行が遅れたため、成果報告としての論文投稿ができず、出張費や論文投稿料などを使用しなかった。また、①のインタビュー調査が進まず、対象者へ支払う謝金、データを加工する研究補助員への謝金がほとんど発生しなかった。 次年度は、研究補助員を活用し研究を推進するため、人件費としての使用が多くなる。また、研究成果を学会や論文として報告することから、出張費や論文投稿料などの使用が多くなる。
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