研究課題/領域番号 |
21K10824
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
江藤 千晴 大分大学, 医学部, 助教 (10633745)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | AYA世代重症心身障害児・者 / 養育介護負担感 / 在宅生活 / 親 |
研究実績の概要 |
重症心身障害児・者の親の養育に関する生活の実態について,小児期から青年期への移行時期や青年期初期に焦点をあてた全国的な調査は見当たらず,十分な見解が得られていない。本研究は,AYA世代重症心身障害児・者(以下,重心児・者と記す)と親(主な養育者)の在宅生活の実態と,養育及び介護における負担感を明らかにすることである。この結果は,AYA世代重心児・者と親への支援策を具体化するための資料となり,家族が安心できる生活を送ることへ寄与することである。研究方法は,自記式質問紙調査を行い,対象者は,重心児・者の年齢が15歳以上25歳までの親(主な養育者)とした。まず,重心児・者が会員と考える全国の患者家族会10か所に対して,アンケート調査の協力依頼を行い,その後,患者家族会を通じて対象者へのアンケート調査票を郵送法にて配布し,対象者からの返信をもって同意を得た。アンケート項目は,『養育介護負担感』と『養育介護負担感に影響する因子』で構成されている。養育介護負担感については先行文献や既存の尺度を参考に34項目を作成し「AYA世代重心児・者養育介護負担感調査票」とした。養育介護負担感に影響する因子には,養育者と重心児・者の基本的属性,周囲からのサポート,福祉手当と障害福祉サービス等の利用状況,訪問看護利用状況を調査した。AYA世代の重心児・者と親の在宅生活の実態について,在宅生活期間や重心児・者の身体的状況,周囲からのサポートや福祉サービス利用状況等が明らかになった。また,AYA世代重心児・者養育介護負担感については,探索的因子分析及び確認的因子分析を行い,養育及び介護負担感の構造を明らかにした。在宅生活の実態は一部学会にて報告を行い,現在は明らかになったAYA世代重心児・者と親の在宅生活の実態と,養育及び介護負担感の構造について論文投稿の準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
アンケート結果から有効回答となる対象を選定し,記述統計量の算出と養育介護負担感について因子分析を行っている。AYA世代重症心身障害児・者と親の在宅生活の実態(主な養育者と年齢,子どもの数,就業状況,家族構成,重心児・者との在宅生活期間,居住環境,重心児・者の属性)と,親の養育及び介護負担感の構造は明らかになった。在宅生活の実態については,一部学会で報告をしている。AYA世代重心児・者と暮らす養育者の生活の実態と養育及び介護の構造について,現在論文作成し投稿準備を進めている。 アンケート調査結果をもとに,AYA世代重心児・者の親が抱える養育及び介護負担感の詳細についてインタビュー調査を行なう予定であるが,アンケート結果から影響要因の分析が遅れている。AYA世代重心児・者の親が抱える養育及び介護負担感の詳細をまとめることができておらず、専門職を対象にした、支援策に関するグループインタビューの準備ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
現在作成中の論文投稿を完了する。また,AYA世代重心児・者の親の養育及び介護負担感と関連要因との分析を進め,結果をまとめて国内学会で発表をしていく。アンケート結果で得られた内容をもとに,個別のインタビュー調査の準備と,対象者への依頼を進める。インタビュー方法については,新型コロナ感染状況の動向を見ながら検討する。調査の主な内容は,義務教育終了後の重心児・者との生活の変化や,生活の中で抱える葛藤などを調査する。調査の手順としては,患者家族会の代表者を通して対象者の公募,選定をする。 明らかになったAYA世代重心児・者と親の在宅生活と養育及び介護負担感を整理し,専門職間でのフォーカスグループインタビューを行い,支援策について検討する。
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