研究課題/領域番号 |
21K10825
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研究機関 | 千葉県立保健医療大学 |
研究代表者 |
石井 邦子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (70247302)
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研究分担者 |
川城 由紀子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (20337108)
北川 良子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (80555342)
川村 紀子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 講師 (90624809)
山崎 麻子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 助教 (50908910)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 産後抑うつ状態 / 熟練看護職 / シミュレーション学習 / プログラム開発 |
研究実績の概要 |
本研究は、産後抑うつ状態の診断力を育成するシミュレーション学習プログラム(PDSA育成プログラム)の開発を目的とし、4つのプロジェクトで構成される。2021年度は「熟練看護職の産後抑うつ状態の診断プロセスにおける実践知の構造化(研究Ⅰ)」に取り組んだ。 熟練助産師21名を対象に産後抑うつ状態の診断に関する半構成的面接を実施し、質的帰納的に分析した。その結果、熟練助産師は、「泣き」「睡眠・休息の不足」「育児の不安」「焦燥感・緊張」「意欲の低下」「自尊感情の低下」「ボンディング行動の減少」等の【産後抑うつ状態の主症状】を敏感にキャッチすると同時に、「妊娠期の抑うつ傾向」「未熟な育児技術」等の【周産期の経過】、「実母・実家からの支援不足」等の【重要他者との関係】、「完璧を求める」等の【母親の特性】といった【産後抑うつ状態の誘因】を巧みな観察力やコミュニケーションを通して査定し、それらを統合して、産後抑うつ状態の程度を見極め、その後の見通しを立てていた。 これらの診断には、熟練助産師が、母親との緊密な関係性を構築して継続支援を行っていること、産後特有の抑うつ状態の客観的症状を敏感に察知していること、誘因となる個別的な背景を巧みなコミュニケーションスキルを駆使して把握しいることが関係していると考えられる。熟練助産師から抽出された診断プロセスにおける巧みな技術を、経験の浅い看護職が習得するためのプログラム開発が次の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた面接調査を計画通りに実施することができた。近隣の周産期医療機関や助産師職能団体の協力を得て、十分な対象者を確保することができた。研究者と対象者双方のリモート面接の環境が整っていたことが功を奏し、コロナ前よりも研究協力が得やすくなった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、第2段階としてPDSA育成プログラム試案を作成する(研究Ⅱ)。研究Ⅰを基に産後抑うつ状態を診断するためのチェックリストとチェックリストを使用するシナリオを作成し、動画視聴、診断、診断に関する講義とデブリーフィング、という構成を予定している。専門家会議を経て完成した試案を2022年度から2023年度に実施し、評価を基に修正し、完成させる。 研究Ⅰを通して産後メンタルヘルスに関心を持つ近隣の助産師とのネットワークを作ることができた。今後の研究において協力を求めることができると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集がリモート面接となったことと、学会発表を行わなかったため、交通費の支出がなかった。学会発表は次年度に実施するためこの際の交通費として使用する。
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