研究実績の概要 |
研究者らは、小児科外来におけるケアプログラムを定める過程で、PWSの疾患特有の際限のない過食、唾液分泌減少、性格・行動問題を起因とする口腔衛生管理の困難さを報告した。具体的には、幼少期から過食が始まり成長に伴ってう歯率が高く、歯周病、口内炎といった口腔内の炎症性疾患有病率が顕著だった。 PWSは疾患特有の理解力や特有な性格を考慮すると、一般的な紙面や口頭での指導によるトランジションケアの実施は困難であり、PWSの成長過程に合わせた独自の歯科口腔医療におけるトランジション計画によって看護介入することを目的に研究を進めている。 2021年は、歯科外来におけるPWS児の口腔医療でのトランジションに関する文献検討、PCS児に対する外来での看護過程に関する情報収集、外来における口腔ケアの実施状況についての調査準備を進めた。 米国では、PWSのトランジションで、内分泌外来でのヘルスケア専門職が専門経験を生かした実践が不足していることが指摘されたが(Hokken-Korelega, et al, Endocr Connect, 2016)、未だ看護職の役割・看護機能について分析した報告はなかった。PWSに関する医師による報告では、PWSのGH療法のトランジション(Tauber M.,et al, Pediatr Endocrinol Rev, 2018)やトランジションの判断に有益な内分泌系指標に関する研究(A C Paepegaey.,et al, Endocr Connect,2018)、PWS成人後のGH療法後の骨粗鬆症に関する研究(Bekker, N.E.,et al, PJ Clin Endocrinol Metab, 2015)など、PWSの治療トランシジョンの内容が中心であった。
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