研究課題/領域番号 |
21K10855
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
照屋 典子 琉球大学, 医学部, 教授 (10253957)
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研究分担者 |
前田 縁子 琉球大学, 医学部, 助教 (60887389)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | がん教育 / がん体験者 / 小学生 / 中学生 |
研究実績の概要 |
当初、沖縄県内小学校6年担任教諭を対象としたがん教育推進の課題把握のための質問紙調査、外部講師の養成を計画していたが、コロナ禍ということで、県教育庁より調査について承諾が得られず、実施できなかった。しかし、令和3年6月、研究代表者が、沖縄県「がん教育総合支援事業」外部講師養成プログラム策定委員に就任し、①がん教育モデル校の授業へ参加、授業内容の検討に関わったこと、②県による外部講師養成講座にファシリテーターとして参加し、がん体験者等の外部講師の養成に関わったことが、主な活動となった。 ①モデル校となった小中高各1校3クラスにおける外部講師(がん体験者)の授業を見学させていただいた。まず、教諭が、保健体育の授業の一環として、児童生徒へがんに関する基本知識(がんの疫学、原因、早期発見、リスク要因等)の授業をした後、がん体験者が自らの体験を語り、児童生徒の質問に答えるという授業を提供していた。教諭とがん体験者との協働による授業を実施した結果、児童生徒のがんや健康に対する知識や認識が高まり、がん患者への理解が深められたことが、モデル授業を通して確認できた。 ②11月の週末(土日/1.5日)を活用した外部講師養成講座(オンライン開催)への参加では、学校におけるがん教育の概要に関する講義、他府県ですでにがん教育を実践されているがん体験者による模擬授業の紹介の後、受講者による自身の体験を話すワークを行った。受講者16名が、自身の体験を児童生徒にどう伝えたら良いのか、わかりやすい言葉で伝えるにはどうすればよいのかをグループワークで共有した。 その翌月、受講者2名が、県内中学校で2年生を対象に授業を実施し(その授業も見学させていただいたが)教諭や生徒からとても好評であった。今後は、県教育庁とこの外部講師をされた2名と外部講師のフォローアップ体制について検討し、進めていくこととなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度、県内小学校6年生教諭を対象としたがん教育推進ための課題把握を目的とした調査を実施予定であったが、令和3年度に実施された文科省による全国的な「がん教育実施状況調査」結果から、改めて実態を把握した後、沖縄県教育庁と連携した上で、教諭を対象とした調査を検討する。沖縄県教育庁は、文科省による「がん教育総合支援事業」が終了したため、外部講師養成について、継続困難とのことから、令和4年度以降は、研究代表者が県教育庁の協力を得て、引き続き実施することとなった。養成した外部講師の活用についても、今後、教育庁と連携しながら、小中高校との連携体制づくりを検討することとなった。また、令和3年度、沖縄県による外部講師養成講座の受講生2名から、外部講師の授業後の振り返りや情報共有できる場として、フォローアップ体制を構築したいとの声があがり、これについても県教育庁と研究代表者と外部講師と連携しながら、検討を進めていくこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
沖縄県においては、がん教育を担う外部講師の引き受け手が少ないため、継続した養成が求められている。本研究では、外部講師養成講座を令和4年度以降、県教育庁の協力を得て実施していくが、昨年度、県が開催した際も受講者30名の募集に対して、16名の参加しかなかったので、まずは、がん体験者だけでなく、がん体験者の家族(遺族)、医療従事者を含め、学校におけるがん教育に関心のある方々に対して、外部講師養成講座への参加について積極的にリクルートすることが課題である。その際、新聞やSNS等のメディアも積極的に活用したいと考える。 学校におけるがん教育への外部講師の活用においては、県教育庁からも今後、外部講師活用の推進について、小中高校へ発信するとのことであったので、養成した外部講師が学校教諭と協働して、児童生徒に効果的ながん教育の授業が提供されるよう、県教育庁や学校側と連携しながら外部講師の活用体制を構築していくことが課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、沖縄県内の約280校の小学校6年生教諭を対象とした調査の実施や学会発表等を計画していた。しかし、コロナ禍ということで、調査については、教育庁の承諾が得られず、調査研究が実施できなかったため、調査や学会発表に関わる予算(備品、人件費、学会発表旅費等)は使用しなかった。また、がん教育の外部講師養成講座も、沖縄県が文科省の「がん総合教育支援事業」の一環として開催していたため、研究代表者では開催せず、ファシリテーターとして養成講座の支援を行ったので、外部講師養成講座に関わる予算(謝金等)は発生しなかった。
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