研究課題/領域番号 |
21K10857
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
遠藤 佑子 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (70822766)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 周産期グリーフケア / ペリネイタルロス / 流産 / 死産 / グリーフ / 当事者アンケート調査 / 周産期喪失 / 当事者ニーズ |
研究実績の概要 |
本研究は、流産・死産など周産期に大切な子どもと死別を経験した両親が、悲しみに向き合うために助けや支えとなるような情報が誰にでも平等に届けられるような当事者のための情報提供支援ツールを作成することである。誰にも代わることができない悲しみを抱えた当事者に対して、先が見えない悲嘆の道しるべになるよう、悲しみを経験した体験者の声から必要だと考えられる確かな情報を提供するツールを開発していくことを目指している。 本研究が目指す情報提供ツールの一番の特徴は、当事者の求める情報を形にすることである。それを実現するために最も大切なことは、1人でも多くの当事者の声に耳を傾け、当事者の思いを理解することである。令和3年度は、研究代表者が共同代表を務める任意団体である周産期グリーフケアはちどりプロジェクトが主催し、全国の流産・死産・新生児死等でお子さまとお別れをした両親を対象とする大規模な当事者アンケート調査(~当事者が行う、家族への支援体制に関する実態調査~「赤ちゃんとお別れしたお母さん・お父さんへのアンケート」)を実施した。また、研究代表者が取り組んできた流産・死産を経験した女性を対象とする研究の論文投稿を目指し取り組んできた。 本研究が作成するツールは、真の当事者ニーズに基づき作成する必要がある。そのため、当事者ニーズの把握こそ、研究の諸段階に時間をかけて行う必要があると考えた。これらの活動はすべて、これから作成する当事者のための情報提供支援ツール作成のための基盤となる当事者ニーズとして役立てられると考えるため時間をかけて取り組んできた。 初期計画では、初年度から取り組む予定であった研究計画立案のために、現在取り組んでいる状況である。スケジュールは遅延してしまったが、より当事者の声をもとに必要とされている情報源に近づけられるよう、この期間に得られた声を本研究に十分に活かして取り組んでいく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究開始時点では、当事者アンケートの実施は考えていなかった。しかし令和3年度、厚生労働省から流産・死産を経験した女性への産後ケアが抜け落ちていたことが認められ、流産・死産等を経験した女性への心理的配慮の周知徹底が求められる課長通達が発出された。これまで以上に、当事者の声をきちんと把握師し、必要な支援として活用される当事者のための情報提供支援ツールを確立する必要があると考えた。 また研究代表者が取り組む研究成果の発表は国内雑誌を検討していたが、改めて当事者の声を1人でも多くの人に知ってもらうことが重要であると考えた。当初は日本語論文を目指しており、これほど時間を要すると考えていなかった。また研究代表者が取り組んでいた研究成果の発表は国内雑誌を検討していた。論文も英語雑誌へ投稿することで、日本語スピーカーに限らず、諸外国の研究者にも研究結果を共有する貴重な機会が得られると考え、英語雑誌への投稿に取組んでいる状況。にチャレンジ中である。本研究課題の基盤となる当事者の声を示す研究成果を広く公開するため目標を高く取り組んだ結果、予想以上に時間を要する結果となった。そのため、初年度に完成を予定していた研究計画書の作成に現在取り組んでいる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
まず第一に、現在取り組んでいる研究成果発表の達成を目指す。そして、昨年度に取組み把握した周産期喪失当事者ニーズを活かし、令和3年度に取り組む予定であった研究計画について検討する。研究計画においても、引き続き、当事者の声を十分に聴きながら、当事者と協同して情報提供支援ツールを作成することが実現できるように取り組んでいく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度に研究実施計画として、「①周産期喪失当事者ニーズの把握」、「②研究計画の立案」、「③データ収集着手」を立案していた。実際には、主に「①周産期喪失当事者ニーズの把握」のみ取組む結果となり(「②研究計画の立案」に着手し始めている状況)、②③のために計上した予算は執行できておらず、未使用となっている。 令和4年度は研究実施計画から遅延している「②研究計画の立案」および「③データ収集」の工程に着手することを目標として取組んでいく予定である。これらの研究活動を遂行するため、昨年度の未使用分を活用していくよう計画を見直したい。 ※約1年間の遅延が生じている研究進捗状況から研究実施計画の見直しを検討した結果、令和4年度に割り当てた金額は、令和5年に執行することになる可能性が高い。
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