研究課題/領域番号 |
21K10858
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研究機関 | 茨城キリスト教大学 |
研究代表者 |
眞崎 由香 (岩永由香) 茨城キリスト教大学, 看護学部, 講師 (30633185)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 乳児 / 母親 / 育児不安 / マルトリートメント傾向 |
研究実績の概要 |
「児童相談所における児童虐待相談対応件数について(令和2年1月~6月分)(速報値)」を見ると、5月以外で前年より増加していた(厚生労働省,2020)。こうした現状を踏まえ、わが国では新型コロナウイルス感染症対応による学校休業や、外出自粛等に伴い、子どもや家庭の生活環境が変化する中で虐待のリスクの高まりを懸念し、「子どもの見守り強化アクションプラン」を公表し、地域の見守り体制の強化を進めてきた(厚生労働省,2020)。また、令和2年度第二次補正予算では、「テレビ電話等を活用した相談支援や関係機関との連携」が盛り込まれた(厚生労働省,2020)。新型コロナウイルスの感染予防の観点から、オンラインを取り入れた地域の親子の見守りが求められている。 厚生労働省の「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第16次報告)」によれば、平成30年度の死亡事例は64例(73人)であり、心中以外の虐待死事例の年齢別内訳は、死亡した子どもの年齢は0歳児が40.7%、主たる加害者は実母が46.3%で多かった。生後間もない命が奪われる現状から、乳児の母親を対象とした児童虐待の予防支援が重要である。 母親の育児不安は、児童虐待の危険因子といわれる。先行研究や研究者のこれまでの成果を踏まえ、本研究では、乳児をもつ母親のマルトリートメント傾向(不適切な養育態度)と自己肯定感との関連を調査により明らかにする。その結果を生かし、乳児をもつ母親の子育て支援プログラム(児童虐待予防プログラム)を構築する。 本研究では、当該年度に倫理審査を受け、倫理審査終了後すぐの調査実施に向けて準備を進めてきた。本来、当該年度中の調査開始を考えていたが、社会情勢を見ると、子どもをめぐる新型コロナウイルスの感染拡大が顕著になっていた。協力を依頼する機関の職員や子育て中の乳児の母親の負担を考え、当該年度中のデータ収集は見送った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究者は、当該年度に倫理審査を受け、倫理審査終了後すぐの調査実施に向けて準備を進めていたが、社会情勢を見ると、子どもをめぐる新型コロナウイルスの感染拡大が顕著になっていた。協力を依頼する機関の職員や子育て中の乳児の母親の負担を考え、当該年度中のデータ収集を見送った。新年度が明け、少し感染状況が落ち着いている時期に調査を実施し、協力を依頼する職員や子育て中の乳児の母親にとって、負担が大きくならないように配慮する必要があると考えたためである。
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今後の研究の推進方策 |
調査実施はこれからであり、まだ結果は出ていないが、本研究では、乳児をもつ母親のマルトリートメント傾向(不適切な養育態度)と自己肯定感に着目した調査を行う。 すでに研究の協力依頼をしており、調査に向けて準備を進めている。 調査を行い、量的に検討し、乳児をもつ母親のマルトリートメント傾向と自己肯定感の関連が認められれば、母親の自己肯定感に働きかける子育て支援プログラム(児童虐待予防プログラム)の開発を目指す。 近年では、少子化や核家族化、近隣関係の希薄化が進み、それに加えて、新型コロナウイルスの影響により人との接触機会が以前に以前に比べ減少している。こうした養育環境の変化により、現代の母親は孤独感を抱えながら育児に励みやすい。自分に自信がもてずにいる母親は、育児不安を強め、子どもに不適切なかかわりをしてしまう。そうした母親によって、大切な命を奪われる子どもは少なくない。 調査を実施し、その結果から、深刻な児童虐待問題を解決するための示唆を得る。児童虐待プログラムを開発し、児童虐待を予防できれば、子どもの命や子どもの健やかな発達、子どもの権利を守ることにつながる。母親が育児に前向きになれれば、少子化の歯止めにも寄与できると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度中に予定していた調査および分析が開始できなかったため、次年度使用額が生じた。新年度は調査および分析実施を予定しており、統計解析ソフトや母親の心理・統計解析に関する図書を購入し、研究を進めていく。
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