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2022 年度 実施状況報告書

発達障害のある思春期女子の感覚調整障害による困難の解明と自己制御支援モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K10882
研究機関熊本大学

研究代表者

大河内 彩子 (井出彩子)  熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (70533074)

研究分担者 松永 信智  熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (10363508)
前田 ひとみ  熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (90183607)
藤村 一美  愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (80415504)
藤岡 徹  福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (80770594)
金森 弓枝  熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (70781920)
秋月 百合  熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 准教授 (90349035)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワードASD / ADHD / VR / 虐待 / 感覚 / 性 / 思春期 / 施設
研究実績の概要

発達障害児の感覚特性の評価システムの精錬に向けて、発達障害児を対象としたデータ収集を行った。発達障害児の割合の高い児童養護施設や少年院や関連機関の職員から、発達障害女子および男子の対人距離感覚や性被害・性加害に関する情報収集を行った。発達障害を背景にもつ妊産婦の虐待や援助要請の課題、関連機関の連携不足が懸念されたため、研修会を2回開催し、実態把握や支援者とのネットワーク構築を行った。これらの成果を学会発表5件、論文1件として発表した。
発達障害特性を持ち、逸脱行為を行った少年・少女の支援経験のある専門職から、彼らは「他者の気持ちを理解して応用する」ことや「社会的に適切な対人距離を保つ」ことが困難であると語られた。性被害者の手記からの学びを自らの加害事例に転嫁することが難しかったり、他の入所者が知的障害を伴う場合の理解が乏しかったり、親も障害への理解が乏しく愛着が未形成な場合もあることが述べられた。研究参加者は、支援対象の少年少女の認識や対人距離感覚は特異であると考えており、心の理論の未成熟さに起因すると思われた。
発達障害児群(DD)、児童養護施設入所者群(発達障害と虐待経験あり、以下DA)、対照群(TD)の3群を対象として、SCAS(Spence Children's Anxiety Scale、スペンス児童用不安尺度)、MAIA(Multidimensional Assessment of Interoceptive Awareness: 内受容感覚への気づきの多次元的アセスメント)を用いて、自記式アンケートを行った。3群比較でMAIAの自己制御、身体を聴く、信頼するに有意差が認められた。この3項目の2群検定でTD群とDD群で全てに有意差が認められた。DD群、DA群、TD群では不安や内受容感覚の特徴が異なることが考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

自閉症スペクトラム(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)と診断された子ども19名と対照群の子ども7名の参加を得て、VRを用いた視線データや感覚評価尺度を用いたアンケートデータを収集することができた。VR等により多元的に感覚を評価するシステムがほぼ完成したところである。精度を高めたり、汎用性を増すための情報収集を行っている段階である。また、発達障害を背景にもつ女子・男子の性被害・加害の背景にあると考えられる彼らの感覚特性について、多様な現場の支援者にインタビュー調査を実施することができた。さらに、発達障害が背景にあり、援助希求が遅れがちな妊産婦の課題を把握するための情報収集を行うことができた。

今後の研究の推進方策

発達障害を背景にもつ女子や女性の身体感覚や性に関する課題を解明し、教育や介入方法を検討する。彼らの性的な関係を仲立ちにした対人関係やコミュニケーションについて、支援者や専門職の語りを分析する。彼らの性に関する思考や行動は、身体感覚や育ちやいじめや自尊感情などが絡み合っている可能性がある。調査で得られた課題に対して、保健医療福祉教育の専門職と討議を行い、介入プログラムや支援方法を検討する。プログラムの検討では当事者の視点を取り入れる予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により、国際学会および国内学会がオンライン発表となったため、予定していた旅費の支出が行われなかった。2023年度には学会で現地発表を予定しているため、旅費として使用する。また、データ収集や研究打ち合わせの旅費として活用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 気になる母子の育ちを地域で支える多職種連携のアートとサイエンス2023

    • 著者名/発表者名
      大河内彩子
    • 雑誌名

      熊本県母性衛生学会雑誌

      巻: 26 ページ: 31-37

    • 査読あり
  • [学会発表] 個人・環境要因による発達上のリスクを抱える子どもの不安と内受容感覚の特徴2023

    • 著者名/発表者名
      大河内彩子, 何慕, 中村五月, 内野々翔太, 時枝朋史
    • 学会等名
      日本ADHD学会第14回総会
  • [学会発表] 発達障害特性をもち逸脱行為を行う少年・少女の困難と支援: 少年院・児童養護施設退所者用施設・学校の調査2022

    • 著者名/発表者名
      大河内彩子, 岡田行雄, 小柴直樹
    • 学会等名
      日本発達障害学会第57回研究大会
  • [学会発表] 保育園・幼稚園における気になる子どもの感覚評価尺度の開発2022

    • 著者名/発表者名
      大河内彩子, 何慕, 坂口美香, 野口久美子, 金森弓枝, 谷川千春, 藤村一美
    • 学会等名
      第42回日本看護科学学会 学術集会
  • [学会発表] 知的障害を伴わない発達障害児の保護者の育児不安に関する文献検討2022

    • 著者名/発表者名
      谷川千春, 大河内彩子, 金森弓枝
    • 学会等名
      第81回日本公衆衛生学会総会
  • [学会発表] Assessing gaze, interoception, and school performance among children with neurodevelopmental disorders: preliminary study on the feasibility of VR classrooms2022

    • 著者名/発表者名
      Ayako Ide-Okochi, Nobutomo Matsunaga, Hiro Sato, Toru Fujioka, Mo Ka, Shiro Ozasa, Keiko Nomura
    • 学会等名
      The 22nd WPA World Congress of Psychiatry 3-6
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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