研究課題/領域番号 |
21K10923
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
荒井 洋子 獨協医科大学, 看護学部, 講師 (60406238)
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研究分担者 |
常盤 洋子 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (10269334)
北原 慈和 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (20714728)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 意味づけ / 生殖看護 / 不妊治療終結期 |
研究実績の概要 |
研究初年度である2021年度は、まずは「意味づけ」支援に関する国内の文献検討を行った。以下に具体的結果を示す。 1.目的:具体的な支援構築に向けた基礎資料とするため、不妊治療の終結期における女性の「不妊体験」と「対処」を明らかにした。2.方法:「不妊女性」「不妊治療」「終結期」「終結」の4つのキーワードを用い、発行年の範囲を限定せずに検索を行った。最終的には、10件を本研究の対象文献とした。また、不妊体験における対処が含まれる論文については、7件を対象とした。3.結果:終結期の女性は「身体的・精神的限界を認識」「妊孕性への自信喪失」「不妊治療の代償を求める強い思い」「治療の限界を自覚し、治療終結を思案」する4つの体験をしていた。また、「固定観念からの脱却」「肯定的認識への転換」「自己受容性の拡大」「他者への感謝」という対処を行っていた。4.考察:対象者は、ほとんど不妊治療を終えた女性であり、実際に本当に終結期にある女性を対象とした研究は1件のみでであった。また、治療を何年も前に終えているにもか関わらず、具体的でリアルな気持ちが鮮明に語られていた。さらに、終結に至る決断(意思決定)が容易ではないことが分かった。「産めない現実を受容する難しさ」があるが、子どもができない自分をありのまま認めてくれるという他者からの承認によって、自己受容が可能になり、終結の一歩を踏み出していたことも明らかとなった。治療中の体験は辛いものだが、自分たちなりに対処をとっていた。それは気分転換など行動による対処ではなく、心理的な対処が多かった。体験を語ることで、意味づけしようとする志向性の表れが見て取れ、女性の苦悩を軽減させる上で有用である(意味づけの有用性が示唆されていた)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度である2021年度は、当初の計画としては、「意味づけ」支援に関する国内外の文献検討を行い、その結果をもとに「意味づけ」の概念分析まで進める予定であった。 しかし、国内の文献検討にとどまり、概念分析は現在、進行中ではあるが、結果までは出せていない。そのため、やや遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
現在、「意味づけ」の概念分析を進行中である。概念分析の結果をふまえ、今後、介入研究に向けた「看護相談モデル」を作成予定である。しかし、介入研究が妥当かどうかを含め、分担者とともに計画の変更等検討していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画がやや遅れており、現在、文献検討における論文を一件投稿予定であること、また現在進行中の概念分析についても結果について投稿予定であったため。今後は、論文の抄録の英文校正や論文の投稿代に使用予定である。
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