本研究は、産後うつ病の予防のため、個人のコーピングにとどまらず、夫婦におけるコーピング (dyadic coping) の視点からメンタルヘルスケアを検討しようとするものである。Dyadic copingとは、夫婦一単位による夫婦の相互作用によるストレスコーピングで、well-beingや夫婦関係の質の向上に関連する。 本研究では、dyadic copingとうつ症状との関連を、Actor-Partner Interdependence Model:APIM (主客相互依存モデル) を用いてactor effect、partner effectの視点から妊娠期と産後の2時点を取り上げて縦断的に明らかにすることを目的とした。 インターネットを通じたオンライン調査を実施し、妊娠期から産後にかけてデータを収集した。最終年度では、得られたデータの分析を行った。dyadic copingの対処行動(Stress communication、Supportive dyadic coping、Delegated dyadic coping、Negative dyadic coping、Common dyadic coping)に着目した分析に加えて、dyadic copingにおける夫婦のズレがうつ症状と関連することが予測されるため、一致係数を算出し、さらなる分析を行う。今後、論文を作成し、成果発表を行っていく。
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