研究課題/領域番号 |
21K10925
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
島田 真理恵 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (10299993)
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研究分担者 |
安達 久美子 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 教授 (30336846)
岡本 美和子 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (70435262)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 母子 / 訪問看護ステーション / 助産師 |
研究実績の概要 |
本研究は、現在助産所で併設されつつあるハイリスク妊産婦および母子を対象とした「支援対象を母子に特化した訪問看護ステーション」で実施されている支援活動について、その実態および効果を知るために、訪問看護ステーション利用者と支援にあたっている助産師の経験を明らかにすることを第1の目的としている。また、今後、このような訪問看護ステーションが増加していくことが予想されるため、よりよい利用者への支援がなされていくよう、支援者である助産師の能力向上を目的とする支援者教育研修を立案し、実施・評価することを第2の目的としている。 研究初年度であった2021年度は、研究の第1目的を明らかにするために訪問看護ステーション利用者と支援者である助産師への半構成的面接を実施することと、第2目的である支援者研修の計画立案のための基礎資料を得るため、訪問看護ステーション管理者や関連機関の医師、保健師およびソーシャルワーカー等に訪問看護ステーションで支援活動を行う助産師に必要な能力はどのようなものかを聞き取り調査によって明らかにすることを計画した。 研究開始にあたり、所属大学研究倫理委員会の審査承認を受け、承認を得るとともに、訪問看護ステーションの活動をより理解するために研究班メンバーで、研究協力の承諾を得た3つの訪問看護ステーションの管理者から、対象施設の活動理念や活動実態に関するレクチャーを受けた。 次いで研究第1目的を明らかにするために訪問看護ステーション利用者5名、支援する助産師3名に、半構成的インタビューを実施した。また、研究第2目的で立案、実施および評価する支援者研修計画立案のための基礎資料を得るために必要と考える聞き取り調査を、訪問看護ステーション管理者とソーシャルワーカーら4名に実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要に示したとおり、本研究では「支援対象を母子に特化した訪問看護ステーション」の利用者と支援者である助産師が、訪問支援で経験していることを明らかにすることと、支援者研修計画立案にあたって、訪問看護活動に必要な助産師の能力はどのようなものかを訪問看護看護ステーション管理者および関連機関の医師、保健師、ソーシャルワーカー等からの聞き取り調査で明らかにすることを初年度の研究活動として計画していた。 しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、調査が予定通りに実施できない状況が生じた。まず、利用者や助産師へのインタビューの調整が、予定通りには実施できなかった。対象者にはZoomによるリモート面接も提案したが、パソコン操作等の不安により対面を希望する対象者もいたため、インタビューを中断している状況である。2022年度にそれぞれ数名の追加面接が必要と考えている。また、支援者研修計画立案のための聞き取り調査についても、訪問看護ステーションと連携している病院の医師や保健センターの保健師への聞き取り調査は実施ができなかった。特に保健センター保健師複数名については、聞き取り調査の承諾を得た直後に感染者数急増によって業務が多忙となったため、その実施が困難な状況が続き、調査実施が保留となっている。今後、対象者とは感染者数の推移をみながら相談し、聞き取り調査を再開したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度上半期は、昨年度から実施している利用者・支援者に対する半構成的インタビューと保健センターと連携する機関の医師、保健師およびソーシャルワーカー等への聞き取り調査を続行する。並行してデータ分析ならびに学術集会への発表および論文投稿の準備を行う。 下半期は、2023年度に教育研修を実施できるよう、研修計画を立案する。作成した研修案は訪問看護ステーション管理者や訪問経験のある助産師ならびに訪問ステーションと連携する医師や保健センター保健師等にデルファイ調査で意見を求め、修正を行い、完成させる。また、研修はオンデマンド研修と対面での演習や現地実習を予定しているので、研修実施に向けて、各準備を行い、2023年上半期には研修の実施が可能となるよう、準備を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の全国的な感染拡大が持続している影響を受け、当初予定していた、訪問看護ステーションの利用者および支援している助産師へのインタビューが予定数実施できなかった。また、支援者研修計画案を作成するための基礎資料を得るために実施計画した、訪問看護ステーションと連携する機関(病院、保健センター等)の医師、保健師およびソーシャルワーカー等への聞き取り調査も予定通りには実施できなかった。 2022年度上半期は、引き続き続きインタビューおよび聞き取り調査の実施数を増やしていく予定である。このため、この度生じた次年度使用額は、これらインタビューや聞き取り調査対象者への謝金やインタビュー起こしを依頼する業者への支払い金等に充てる予定である。
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