研究課題/領域番号 |
21K10928
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
上澤 悦子 京都橘大学, 看護学部, 教授 (10317068)
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研究分担者 |
岡田 弘 獨協医科大学, 医学部, 特任教授 (00177057)
常田 裕子 京都橘大学, 看護学部, 准教授 (40622486)
嶋 雅代 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (50633385)
波崎 由美子 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (80377449)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 男性プレコンセプションケア / 意識調査 / 妊孕性支援教育プログラム / 行動変容 |
研究実績の概要 |
本プログラム前調査として、2021年から2年間に渡り、2段階の実態調査を行った。 対象者は大学生男女を対象としWEB調査で実施した。 第1段階調査では、意識調査結果として以下の結果を得た。1,521件(有効回収率32.5%)であり、平均的に知度が低い項目は配偶子特性では「1回の月経周期で約1000個の卵子が消失する(25.4%)」「精液検査で精子濃度1500万/ml未満を乏精子症という(30.3%)」であり、生活習慣では「毎日のサウナや長風呂(18.3%)」「毎日3時間以上の自転車バイクの乗車(21.0%)」「少ない性交渉(月1回以下)(13.1%)」「トラック等運転手(27.0%)」「農薬散布業(21.4%)」「1年以上の胃薬服用(23.5%)」であった。 第2段階研究は、男性の妊孕性支援教育プログラム「あなたの精子は大丈夫?」での造精機能障害と日々の生活習慣との関連への理解を、前後比較テストを行って分析した。分析回答数は、244件であり、動画視聴後には、造精機能障害に影響する生活習慣としての「喫煙・飲酒」「毎日のサウナや長風呂」「タイトな下着の着用」 「一日3時間以上の自転車なバイクの運転」に対する認識の向上が最も高く52.6%、次いで、健康情報として「肥満」「うつ治療薬の長期使用(半年以上)「鎮痛薬の長期使用(1年以上)「胃薬の長期使用(1年以上)」「高熱が3日以上継続する疾患」「精索静脈瘤」への認識が36.6%、性的関係では「週1回程度のマスターベーション等が必要」が36.2%、職場環境として「高温な職場環境(43℃以上45分)業務」「トラック等の職業運転手」「放射線被ばく可能性がある職場」「塗装業などのペンキ溶剤使用の職場」「農薬散布業」での29.2%であった。認識の向上と行動変容に繋げようとする前後意識の顕著な有意差は認められなかったものの、変化が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本来の調査対象者は、成人男性(子どものいない健康な40歳未満の男性)200名を対象に前調査、セルフ精液検査でのデータ収集により、男性のためのプレコンセプションケア(preconception care:PCC)介入モデルを作成することを目的としていた。 しかし、コロナ禍のなか、企業へのアプローチができない状況となり、WEbでの意識調査が可能な大学生への調査でのデータ収集となった。これらの研究においては学内共同研究費、学術研究推進助成費を受けることができたため、研究実施に必要な経費はそちらから捻出できた。 それらの結果、当初の目的以上の対象者数も集めることができ、おおむね必要な事前意識調査とプレ実施としての動画作成(7分程度)もできたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
男子大学生のみでなく女性大学生を対象とした男性PCCモデルも今回の実態調査および介入調査でも必要であることは実証されたため、今後はコロナ禍であることも念頭に対象者を再検討して、男性のためのPCCモデルを作成していく予定である。 しかしながら、セルフ精液検査に関しては大学生対象では難しいため、男性不妊専門医である研究分担者とも協議して、今後の推進方法を再度検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、男性PCCプログラムでの介入年度となる。そのため、研究実施の承認を得ることができた大学または企業への情報提供のための資料作成費および研究分担者および協力者への旅費が必要となる。
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