研究課題/領域番号 |
21K10943
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
山田 加奈子 大阪公立大学, 大学院看護学研究科, 講師 (90583740)
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研究分担者 |
大橋 一友 大手前大学, 国際看護学部, 教授 (30203897)
大川 聡子 関西医科大学, 看護学部, 教授 (90364033)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 妊娠糖尿病 / 2型糖尿病 / 産後健診 / 生活習慣病予防 / 抑うつ |
研究実績の概要 |
本研究は、妊娠合併症のフォロー、産褥期のケア、メンタルヘスケアなど女性の包括的産後ケアが提供できる産後3~4か月健診の総合健診の構築を目指している。 産後の女性の身体的心理的健康状態に関する調査として、妊娠合併症である妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus; GDM)に焦点をあて調査を行った。GDM既往女性は、将来の2型糖尿病を発症するリスクが高く、産後の適正体重の維持や、食事、運動など健康的な生活習慣の維持が必要である。しかし、GDM既往女性の産後うつの罹患率は妊娠期にGDMでなかったの女性の1.59倍であり、糖尿病とセルフケア行動は精神状態が大きく関連しいる。糖尿病患者の場合、抑うつを合併していると食事などセルフケア行動を維持することが難しいと報告されている。そこで、GDM妊褥婦と非GDM妊褥婦を比較し、GDMと抑うつについて調査を行った。日本人女性229人を対象に質問紙調査を行い、213人の分析対象のうちGDM妊婦は105人、非GDM妊婦は108人であった。妊娠期の抑うつ状態にあるGDM妊婦は105人中20人(19.0%)であり、非GDM妊婦の108人中10人(9.3%)と比較してGDM妊婦の方が有意(p = 0.040)に高率を示した。しかし、産後の抑うつ状態とGDMの既往には有意な関連を認めなかった。 本結果は第26回East Asian Forum of Nursing Scholars で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画では助産師による産後3~4か月の包括的産後健診の実施を行う予定であったが、産後3~4か月の健康課題の抽出に関する研究計画に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
妊娠合併症である妊娠糖尿病は将来の2型糖尿病を発症するリスクが高く、産後の適正体重の維持や、食事、運動など健康的な生活習慣の維持に加えて、定期的なフォローアップが推奨されている。妊娠中に増えた体重が非妊時体重に戻らない状態(postpartum weight retention;PPWR)になると、糖尿病を発症しやすい。 そこで、PPRWを抑制することが、妊娠糖尿病の糖尿病発症予防の重要な要因であることから、産後4か月の妊娠糖尿病のPPRWに関連する要因を明らかにし、PPREのハイリスク分を同定することが重要であると考えた。妊娠糖尿病の産後4か月の低PPREの要因を明らかにすることで、保健指導に活用でき、生活習慣予防の支援と健康増進に結び付けることができると考える。現在、研究倫理審査委員会に研究計画書を提出するなど調査準備を進めているところである。研究倫理審査委員会の承認後、4か月児健診に参加する女性への質問票の配布・回収、および分析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、当初予定していた打ち合わせ会議がオンライン会議になり、学会もオンデマンド開催に変更になったことから旅費などを使用することがなかった。また、データ収集のために研究補助者の雇用を予定していたが、感染予防のため、研究協力者が施設内に入館できないなど研究協力者の雇用費も予定と差額が生じた。以上の理由から、助成金を次年度に繰り越すこととなった。次年度は、オンライン会議は継続すると考えるが、現地開催の学会参加およびデータ分析のための研究協力者の雇用も検討している。
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