研究課題/領域番号 |
21K10944
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
五十嵐 稔子 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50347473)
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研究分担者 |
乾 つぶら 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00512667)
岡山 真理 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30711973)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 分娩 / 入院 / 医療介入 / 陣痛 |
研究実績の概要 |
近年、分娩を取扱う施設数が減少し、へき地を中心に分娩施設の集約化が進行している。分娩取り扱い施設は、2006年から2017年の約10年の間に、3,098件から2,404件となり(日本産婦人科医会、2017)、5件に1件の割合で減少している。 分娩施設へのアクセスが悪くなると、分娩時の入院時期の判断が困難になる。分娩時の入院には、正常経過である陣痛発来に加え、破水、出血、急激な腹痛、胎児の動きが感じられないなどの状態がある。これらは産婦が自宅にいる際におこり、産婦が自ら病院に電話が必要かを判断する。 分娩時に、入院が遅すぎると車中分娩や墜落分娩の恐れがあり、母子の生命に危機がおよぶ一方、海外の研究では早すぎる入院は帝王切開などの医療介入が増加することが明らかになっている。現在、分娩時の統一された入院時期の基準はなく、分娩施設の特性によって入院の基準が異なっており、また周産期に携わる医療職が入院時期の診断をする技術は、それぞれが卒後に経験を重ねながら獲得している状況から、判断に迷う場面もある。 そこで本研究は、①日本においても海外と同様に、入院時の分娩の進行状況が医療介入の頻度に影響するのか、②入院の診断基準に影響する施設の特性、について明らかにする。さらにこれらの結果を統合し、③施設の特性による影響を考慮して使用できる、分娩時入院の診断基準の構築を行う。これにより、適切な時期での入院の増加、回避可能な医療介入の減少を目指すとともに、医療専門職の基礎教育ならびに卒後教育に活用できる資料を提示する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究はカルテ調査を行い、入院時の分娩の進行状況(子宮口開大度および陣痛)と医療介入の頻度の関連を分析する。現在調査を進めており、2559名の産婦のカルテデータを得たところである。新型コロナウイルス感染症拡大により、調査がスムーズに進行していない状況であるが、引き続き病院施設への依頼を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
現在、大学附属病院にて、2559名の産婦のカルテデータを得たところである。今後、市中病院に調査協力を依頼し、さらにデータ数を増やしていく。 また、全国の分娩施設から無作為抽出した分娩施設にアンケートを配布する。調査内容は、施設の地域の特性、施設の規模・医療機能、助産師数、分娩件数、入院の診断基準の有無とその内容とする。アンケートの回収率を30%とし、100件の施設からの回答を得る。得られたデータから、施設の立地、医療機能に分け、入院が必要と診断する分娩進行状況との関連を統計的に分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
カルテ調査にリサーチアシスタントの謝金を使用する予定であったが、新型コロナウイルス感染対策で、一度に多くのアシスタントが入れず、当初の予算よりも支出が少なくなっている。今後はカルテ調査を引き続き行っていくため、使用する予定である。
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