研究課題/領域番号 |
21K10952
|
研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
岡田 明子 (蛭田明子) 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (80584440)
|
研究分担者 |
太田 尚子 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (50285053)
堀内 成子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 特命教授 (70157056)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 周産期喪失 / ペリネイタルロス / 死産後の妊娠 / 流産後の妊娠 / 次子妊娠・出産 |
研究実績の概要 |
2021年度は周産期喪失後の次子を妊娠する/妊娠中の女性に対する介入を具体的にするために、文献検討を行い、介入プログラムのコンテンツの内容を検討・整理した。プログラムは①情報提供、②認知と感情へのアプローチ、③分かち合いの3つの柱で構成する。 ②の認知と感情へのアプローチに関して、文献検討から、認知行動療法を応用したワークは概ね有用であることが示唆された。また、提供方法として、対面とインターネット、どちらにおいても有用である可能性があり、プログラム内で実施可能な提供方法を精神科医や心理士と共に検討しているところである。 ③分かち合いに関して、不安な気持ちや亡くなった子どもへの思いなどを共有するということに加えて、喪失を経験した女性たちは通常の母親学級に参加することが難しく、妊婦としての分かち合いの視点も必要であることが文献検討から示唆された。 ①の情報提供に関連し、子どもを亡くした後に出産をした女性と地域で関わる助産師・保健師と2回、ディスカッションを行った。流産・死産後の妊娠は妊娠中の不安に注目されるが、育児の中で喪失の体験が影響し、育児に対する気持ちの難しさを抱える女性が存在すること、そのような女性には、話をじっくり聞いてもらいたいニーズがあること、一方で専門職からみて気になるが、抱えている気持ちを表出することが難しい女性もいること、さらにそのような女性たちを支援する専門職者にも、関わり方への迷いがあることが分かった。このディスカッションから、産後の育児に関連する情報提供も本研究で作成するプログラムに追加することが必要だと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度後半に、周産期喪失後に次子を妊娠・出産した女性の分かち合いの場をもち、プログラムにおける分かち合いの持ち方を検討することを考えていた。しかし、COVID-19の影響があり、妊娠中の女性が対面で集うことは難しく、実施できなかった。また、情報提供の内容に関して打ち合わせをする時間をとることができず、やや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は介入プログラムの①情報提供については内容を具体的にし、冊子または動画のどちらが利用しやすく、効果的であるかを検討の上、作成する。②認知と感情のアプローチに関しても、提供方法を検討した上で完成させ、2022年度後半で試験的に実施する。③分かち合いは2022度前半に1回開催し、分かち合いの持ち方を検討するとともに、可能であれば分かち合いの参加者に、①②③の内容を含むプログラムの開催について、参加しやすさや必要度という点から提案をいただく。 これらにより、2023年度の最終年度早期に①②③を統合したプログラムのαテストを実施できるように準備する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
国際学会に参加し、研究者や実践者との交流のための費用を予算に計上していたが、2021年度の開催がなかったため、未使用額が発生した。認知行動療法を応用したワークをインターネットを介して行うことを検討しているが、その場合、プログラム設計の技術や開発に経費が発生する。インターネットを介した実施方法は当初予定していなかった為、申請時にこの経費を予算として計上していなかった。よって、2021年度の未使用額から新たに必要となった経費に充当する予定である。
|