研究課題/領域番号 |
21K10962
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
曽根 稔雅 福島県立医科大学, 保健科学部, 教授 (60515500)
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研究分担者 |
菅原 由美 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20747456)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | フレイル / 要介護 / 社会参加 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、フレイル高齢者および家族介護者の健康維持・向上につながる支援体制を提言することである。令和4年度は、令和3年度に整備した大崎市民健康調査のデータベースを用いて、フレイルと要介護発生との関連における社会参加の影響について調査した。 対象者は、調査開始時点で65歳以上の住民31,694名とし、23,091名から有効回答を得た。このうち、要介護認定の情報提供に同意しなかった者、調査開始以前に要介護認定を受けていた者・転出または死亡していた者、社会参加の質問に未回答の者を除いた11,992名を解析対象とした。追跡期間は約13年で、追跡期間中の要介護発生を調査した。 フレイルの調査は、基本チェックリストを用いた。フレイルの分類は、0-3点をロバスト群、4-7点をプレフレイル群、8点以上をフレイル群とした。 社会参加は、地域活動への参加状況とし、アンケートの回答から情報を得た。地域活動は①ボランティア活動、②趣味活動、③地縁的活動の3つに分け、それぞれの参加状況について「月に1回未満」以上を選択した場合に、その活動への参加ありとした。社会参加の分類は、地域活動の参加数により4群(社会参加なし、1つの活動、2つの活動、3つの活動)とした。 社会参加がフレイルと要介護発生との関連に与える影響を検討するため、フレイルの程度と社会参加の状況とを組み合わせて、要介護発生のリスクを調査した。その結果、ロバスト群に比べて、プレフレイル群・フレイル群では有意に要介護発生リスクが高かった。しかし、社会参加あり群では、プレフレイル群・フレイル群にかかわらず要介護発生リスクが低いことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、令和3年度に整備したデータベースを用いて、研究成果を残すことができた。研究成果は、以下の通りArch Gerontol Geriatr誌に掲載された。 Effect of social participation on the association between frailty and disability. Sone T, Nakaya N, Sugawara Y, Matsuyama S, Tsuji I. Arch Gerontol Geriatr. 2023 Jul;110:104989. doi: 10.1016/j.archger.2023.104989.
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた、国民生活基礎調査のデータを用いて、家族介護者における介護時間と社会経済的要因・健康行動との関連を調査する研究は、目的とする研究データの取得が困難であることが判明した。そのため、今後は大崎市民健康調査のデータを用いて、配偶者の要介護者と生活習慣悪化・要介護発生リスクとの関連における社会的支援の影響について研究を進めていく。これにより、家族介護者の健康維持・向上につながる支援体制の提言へとつなげていく。 令和5年度前半はデータベースを整備する。令和5年度後半は、横断研究として、配偶者の要介護と生活習慣との関連を調査する。また、次年度は、縦断研究として、配偶者の要介護と要介護発生リスクとの関連を調査し、研究成果を公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文掲載料が未完であること、コロナ禍の影響により学会参加を自粛したことで次年度使用額が生じた。 次年度は、研究環境の整備に加え、学会へ参加することで本研究に関する情報収集を進めていく予定である。
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