研究課題/領域番号 |
21K10966
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
三重野 英子 大分大学, 医学部, 教授 (60209723)
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研究分担者 |
小野 光美 大分大学, 医学部, 准教授 (20364052)
森 万純 大分大学, 医学部, 助教 (60533099) [辞退]
吉岩 あおい 大分大学, 医学部, 教授 (70363570)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 非がん / 後期高齢者 / 緩和ケア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、一般病院に入院する非がん後期高齢者(75歳以上)に対する緩和ケアプログラムを開発することである。本年度は、研究フィールドとなる一般病院Aにおいて緩和ケアを必要とする非がん後期高齢者の看護実践について事例研究を行い、後ろ向きカルテ調査の準備および緩和ケアプログラムの枠組みの検討をすすめた。事例研究の遂行にあたっては大学院生1名を研究協力者とし、A病院非がん緩和ケアチームおよび病棟看護師が研究参加者となった。 まず緩和ケアプログラムの理論的根拠について文献検討を行い、コンフォート理論(K.Kolcaba)を用いることにした。コンフォートニードを充足するケアは、老化と疾病により心身機能が衰え全人的苦痛を抱えやすい非がん後期高齢者に、苦痛の緩和や安心をもたらし、さらに長い人生を生き抜いてきた高齢者の強みを発揮することにもつながると考えたからである。次に、コンフォート理論を看護実践に適用するにあたり、アセスメントの視点として身体的、サイコスピリット的、環境的、社会文化的コンフォートの充足状態を査定するために必要な情報を検討・整理した。このアセスメントの視点と情報収集の枠組みに基づきA病院において心不全の治療目的で入院した後期高齢者一事例を対象に行った看護実践を振り返り、緩和ケアプログラムのモデルとしての意義を検討した。その結果、コンフォート理論を基盤とするアセスメントの視点を活用した緩和ケアの実践は、対象のコンフォートニードを多面的にとらえることができ、本人の回復意欲や持てる力の発揮を支えるケアにつながることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画では、研究フィールドとなる一般病院Aにおいて、緩和ケアを必要とする非がん後期高齢者の条件を明らかにするために、後ろ向きカルテ調査により、過去入院した非がん後期高齢者の治療・ケアの経過と転帰の実態を洗い出す予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、調査の実施が困難であった。そのため、調査の準備も兼ね、先に緩和ケアプログラムの理論的基盤と枠組みを検討し、その枠組みを適用した看護実践とその振り返りを研究協力者とともに行った。事例研究により緩和ケアプログラムの理論的枠組みを定めることができたため、後ろ向きカルテ調査の枠組みや方法がより具体的になった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果にもとづき、一般病院Aにおいて、緩和ケアを必要とする非がん後期高齢者の条件を明らかにするための後ろ向きカルテ調査を実施する。調査の枠組みは、過去入院した非がん後期高齢者の基本データ(年齢、性別、現病歴、既往歴、入院期間、治療経過、転帰)を整理し、次いで、事例を選定し、院内の非がん緩和ケアチームメンバーとともに、コンフォート理論を基盤としたアセスメントの視点に基づき看護の経過を整理・分析する。新型コロナウイルス感染症の動向をふまえ、病院側と感染予防対策(院内での調査・検討方法等)を検討し安全に調査が遂行できるよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、研究フィールドとなる一般病院Aにおいて、後ろ向きカルテ調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う病院側の負担を考慮し、院内での調査を見合わせた。また、参加予定であった学術集会もすべてオンライン開催となり旅費を使用しなかった。次年度に、後ろ向きカルテ調査に必要な経費を繰り越す。次年度の研究活動にかかる経費として、病院側に設置するノートパソコンや周辺機器、調査旅費等に使用する。
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