研究課題/領域番号 |
21K10968
|
研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
片平 伸子 国際医療福祉大学, 大学院, 教授 (10381675)
|
研究分担者 |
杉本 知子 北里大学, 看護学部, 教授 (00314922)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 看護小規模多機能型居宅介護 / ケアマネジメント |
研究実績の概要 |
本年度は看護小規模多機能型居宅介護(看多機)におけるケアマネジメントの実態と課題を明らかにするため,終末期に焦点をあてケアマネジャーを対象とした面接調査を行った. その結果,終末期であることを告知された患者・家族が面会できない入院生活からの離脱を希望して病院から紹介される事例や長期に看多機を利用していた妻との死別を契機に夫も利用を開始し病状悪化が進んだ事例があった.【利用開始期】には「認知症によるせん妄があるため最初は通いで施設で過ごしてもらい,慣れた頃に泊まりを入れるようにした」,「最初は連続で泊まり利用にして主介護者である娘に通ってもらい,介護が覚えられるように計らった」といったスムーズな移行を図る支援があった.【維持期】には「平日は通いで入浴介助をし,週末は泊りにするという日程を組んで介護負担軽減を図った」,「遺産の話がしたいという利用者の希望を息子に伝えて一緒に家の片づけをしてもらった」といった安定期だからできることを探して支援していた.【状態悪化期】には「席に座るまでの動作で息が上がる利用者に運転を止め,訪問回数を増やした」,「本人・家族と話し合って訪問中心から泊り中心に切り替えた」といった工夫をしていた.【臨死期】には「食事が摂れなくなったことから死が近いことを予測し,アイスなどを用意してもらった」,「利用者本人が喜ぶからと孫や娘にも顔を見せてくれるよう頼んだ」といった死が迫る利用者や家族のためのケアマネジメントを行っていた.【グリーフケア】では「死後1月以上たつが今でも娘から週一回は電話が来て慰めたり励ましたりしている」,「息子から相談があり近くの葬儀社を探して数件紹介した」といった看多機のサービスを超えた家族支援を行っていた. 利用者・家族個々に合ったケアマネジメントが工夫されているが施設や職員の負担が推察され,さらなる調査が必要と考えられた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度中にインタビュー調査を終えることを年度当初では予定していたが,倫理審査の承認に想定以上の時間がかかったこと,COVID-19の影響等により看護小規模多機能型居宅介護施設における対象者の研究への参加協力が難しいこと等の理由からインタビューデータの収集に時間がかかり,進捗状況としてはやや遅れている.
|
今後の研究の推進方策 |
計画遂行のタイムスケジュールを修正し,研究実施期間を1年間延長することを予定している.2022年度実施予定であったインタビューについて,データの収集を2023年度に引き続き実施し,4年間での研究実施とする.COVID-19の感染状況とこれに伴う行動制限の状況を踏まえて,可能な範囲で効果的なデータ収集ができる方策を検討しつつ研究を進める.
|
次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査が2022年度で終わっていないため.2023年度に引き続き調査を行い,成果をまとめていく.
|