研究課題/領域番号 |
21K10976
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
中川 陽子 順天堂大学, 保健看護学部, 准教授 (00644775)
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研究分担者 |
宮本 信也 白百合女子大学, 人間総合学部, 教授 (60251005)
岡田 佳詠 国際医療福祉大学, 成田看護学部, 教授 (60276201)
松井 豊 筑波大学, 働く人への心理支援開発研究センター, 主幹研究員 (60173788)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | COVID-19 / 保健所保健師 / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
COVID-19に対応する保健所保健師と保健所以外で勤務する保健師(以下、非保健所保健師)のメンタルヘルスを比較検討することを目的にweb調査を実施した。(株)メディリード社に登録する保健師及び機縁法により調査協力を依頼し、208名から回答を得た。所属不明及び欠損値等を除外し、保健所保健師70名、非保健所保健師106名を分析対象とした。残業時間、職業性ストレス簡易調査票のA項目(仕事上のストレス要因)とC項目(上司、同僚、配偶者・家族・友人からのサポート)、日本版GHQ12について比較検討した。その結果、COVID-19に対応する保健師の残業時間について、月に80時間以上残業した者は保健所保健師群では22.9%、非保健所保健師群は3.8%であり、保健所保健師群の勤務状況が激務であったことが窺える。各尺度についてt検定を行った結果、職業性ストレス簡易調査票のA項目は、保健所保健師群(M=17.93, SD=3.70)が非保健所保健師群(M=16.00, SD=3.79)よりも有意に高く(p<.01)、GHQ12得点においても保健所保健師群(M=6.03, SD=3.91)が非保健所保健師群(M=4.75, SD=3.68)よりも有意に高かった(p<.05)。C項目については両群に有意差はみられなかった。 本調査から、保健所保健師は非保健所保健師よりも仕事上のストレスが高いことが示唆された。C項目はソーシャルサポートに関する項目で構成されており、両群に差がなかったことから今回の結果は仕事上のストレスが保健所勤務か否かで異なることを示していると考えられる。今後は、保健所保健師へのメンタルヘルス対策を行っていくことが急務であると考え、予備調査で効果がみられたCOVID-19に対応する保健所保健師に対するメンタルヘルスケアの実施に向けて調整を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の感染症流行の長期化に伴い、その感染症対策に携わる保健師が心身ともに疲弊しており本研究において研究協力を得ることが困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19に対応する保健師に対して、予備的調査で効果の得られた認知行動療法を活用した研修を実施し、作成したプログラムの効果検証を行っていく。COVID-19に対応する保健師のメンタルヘルス対策は急務であり、感染症対策で心身ともに疲弊している保健師の負担軽減に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の感染症流行の長期化により、対象となる保健師の疲弊感が大きく、アンケート調査を行うことが困難となり紙面でのアンケート調査からweb調査に切り替えた。そのため、使用しなかった郵送費等を次年度の保健師に対するメンタルヘルス対策のための研修実施の費用に充当することにした。
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