研究実績の概要 |
2022年度に実施したweb調査における、COVID-19に対応する保健所保健師(Ⅰ群)と保健所以外で勤務する保健師(非保健所保健師:Ⅱ群)の特につらかったCOVID-19関連業務と当時の離職意思に関する分析を行った。保健師208名(男性20名、女性188名)の内、所属不明30名とCOVOD-19の対応を行っていない26名を除く152名(Ⅰ群:70名、Ⅱ群:82名)を分析対象とした。 COVOD-19関連業務による当時の離職意思に関する得点を比較検討した結果、Ⅰ群(M=2.61, SD=1.13)は、Ⅱ群(M=2.10, SD=1.14)より有意に得点が高かった (t=2.80, df=146.54, p<.01)。両群を含めて、COVID-19関連業務において特につらかった業務を説明変数(ダミー変数)、当時の離職意思を目的変数としたステップワイズ法による重回帰分析を行った(R2=.17, p<.001)。標準偏回帰係数をみると、相談対応(β=.20, p<.05)、陽性者の入院・療養調整(搬送同行含む、在宅療養者の健康観察)(β=.25, p<.01)、住民からのクレーム対応(β=.16, p<.05)が有意であった。 また、Ⅰ群を対象に、特につらかった業務を説明変数(ダミー変数)、当時の離職意思を目的変数としたステップワイズ法による重回帰分析を行った(R2=.21, p<.001)。標準偏回帰係数をみると、前任者との引継ぎがうまくいかず苦労した(β=.33, p<.01)、労働に見合った報酬が得られていないと感じた(β=.25, p<.05)項目が正の寄与を及ぼしていた。 保健所保健師群は、非保健所保健師群よりもCOVID-19対応による当時の離職意思が高いことが示唆された。
|