研究課題/領域番号 |
21K10978
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研究機関 | 駒沢女子大学 |
研究代表者 |
中田 晴美 駒沢女子大学, 看護学部, 准教授 (90385469)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 尿失禁 / 若年女性 / ICT |
研究実績の概要 |
今年度も引き続き、実態調査にむけた質問紙票の作成およびICTを活用した介入方法策定のための文献検討を実施した。調査票作成における文献検索では「尿失禁」、「若年女性」をキーワードに設定した。また、ICTを活用した介入研究の文献検索では、尿失禁に関する研究に限定すると数件しかないため、「遠隔リハビリテーション」をキーワードに設定した。これらのキーワードで、医学中央雑誌およびPubMedのデータベースを用いて文献検索を行い、得られた文献のうち、研究目的に合致しないと考えられる文献を除外して、文献内容の検討を行った。 その結果、日本および諸外国においても、若年未婚女性のうち、10-20%前後が尿失禁を経験していた。これまでの、中高年女性と若年女性の尿失禁発症に関する要因を比較すると、若年女性の方が「喫煙習慣」の影響を大きく受けることがわかった。 また、ICTを活用したリハビリテーションは、2010年代から散見されるようになり、2020年のコロナ禍以降、急速に発展してきている。主な介入方法として、PC、スマートフォン、スマートテレビなどの機器を用いて、講義、動画の視聴や、オンライン対面指導を行うものがほとんどであった。加えて、バイタルサインや運動記録等を送信することで、対象者へのフィードバックを行えるような工夫がされていた。対面でのリハビリテーション群と比較して、同様の効果、または遠隔リハビリテーションの方が効果がみられたという報告もあった。一方、遠隔リハビリテーションのデメリットとして、リハビリテーション遵守率の低下や、個別指導を受けられないことに対するモチベーションの低下、カメラワークの不備による指導に対する不満などが指摘されていた。以上のことから、遠隔リハビリテーションのデメリットを克服しつつ、遠隔リハビリテーションのメリットを発揮できるような予防戦略を検討していくこととする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は、若年未婚女性における腹圧性尿失禁の実態を明らかにすることを目的とし、質問紙調査を実施し、さらに若年未婚女性の尿失禁に対する認識と対処行動および、QOLに与える影響についての概念枠組みを行う計画であった。調査票の作成、およびICTの活用方法を検討するための文献検討を行ってきたものの、若年女性の尿失禁を扱った研究や、ICTを活用した介入研究が少なく、文献収集に時間がかかった。加えて、新型コロナウイルス感染による社会活動の制限が解除されたものの、本研究対象者となる方々への接触の機会が限られているため、研究協力依頼が進んでおらず、計画に遅れが生じている状態である。
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今後の研究の推進方策 |
文献検討の結果から、本研究対象者の特徴を踏まえた質問紙票が完成し、所属する機関の倫理審査委員会への申請を行い、研究実施の承認を得る手続きに入ったところである。また、対象者への研究協力依頼をする機会が制限されていることから、研究対象者をリクルートする方法として、手始めに学術研究向けの調査を得意とするリサーチ会社にモニター登録をしている方に対して、質問紙調査を行うこととする。そして、収集したデータの分析を行うことで、腹圧性尿失禁の有病率や発症に関連する要因を明らかにし、若年未婚女性特有の尿失禁に対する認識と対処行動および、QOLに与える影響についての半構成的面接調査を実施する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)令和5年度も、本研究の特性や新型コロナウイルス感染拡大の影響が残っていたため、研究の進行に大幅な遅れが生じており、文献検討、倫理審査申請にむけての書類作成等を実施したため、主に質問紙調査および面接調査に関連する支出が発生しなかった。
(使用計画)令和6年度に実施する質問紙調査でのリサーチ会社への謝礼金、インタビュー調査に関連した研究補助員謝金、交通費、成果発表に関する経費を主に執行する計画である。
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