研究課題/領域番号 |
21K10985
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
上山 ゆりか 藤田医科大学, 保健衛生学部, 講師 (20773154)
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研究分担者 |
梅村 まり子 藤田医科大学, 保健衛生学部, 助手 (30848651)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 高齢者 / 団地 / 多文化 / 多世代 / 共生 / 外国人 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本人居住者の高齢化と共に、外国人居住者が増加している団地において、多文化多世代共生のコミュニティ再構築の実態を調査することを目的とする。 2021年度は、日本の団地の現在の状況について文献レビューをした。日本の「団地」は、住宅供給という国策により各地で大量につくられ、高度経済成長の象徴でもあった。戦後70年経った現代、団地は少子高齢化のあおりをうけ、オールドタウンとなっているが、この団地が抱える問題は、近い未来の日本社会の問題とも照らし合わされる。夫や妻に先立たれた高齢者は孤立した生活を強いられ、その一室では孤独死の問題が取りざたされる一方で、少子高齢化による人口減少やグローバリゼーション進展に向けた外国人IT 技術者の積極的な受け入れにより、近年では、団地に居住する外国人が増加している。外国人居住者には、団地の潜在的成長力として自治会(町内会)活動における団地コミュニティでの力を発揮してもらうことで地域再生の期待がされているのだが、コミュニケーションが取れないことによって、上下階も左右横のつながりも薄く、かつ、高齢者は若者に比べ警戒心をいだきやすく交流が進まない傾向があるとも言われている。そして、文化の違いから生活ルールに関するトラブルが起こるなど、互いに関心が希薄化していることが明らかとなった。このように、「外国人の居住」については、それまで生活してきた高齢者をはじめとする「地域住民とのコミュニティ再構築」の課題がある。地域での生活者として、高齢者らはどのように外国人居住者を受け入れているのか、また外国人居住者は異文化の中で、地域住民らとどのようにコミュニティを構築しているのか、多文化・多世代共生における地域ニーズを明らかにすべく、2022年度は、これらレビューの成果をもとに、団地居住の多文化多世代共生のコミュニティに関する暮らしの実態調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究フィールドの拠点を、団地内にある「ふじたまちかど保健室(暮らしの保健室)」においている。そのため、コロナ禍においても、健康相談等で多くの団地に居住する日本人住民が来所し、暮らしのニーズ調査を行うことが得やすい環境にあった。一方で、外国人の保健室の利用はなく、コロナ禍で地域の自治会活動が行えない状況が続いているため、直接外国人住民と関わる機会がなく、外国人のニーズを探ることが困難な状況となっていた。2022年度は、自治会の活動への参加も行いながら交流の機会を設け、外国人の暮らしのニーズもリサーチし、調査研究に活かしていく。
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今後の研究の推進方策 |
レビューの成果をもとに、また、外国人居住者との自治会活動を通じた交流も行いながら、団地居住の多文化多世代共生のコミュニティに関する、暮らしのニーズの実態調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響をうけ、研究フィールドでのニーズ把握をかねた自治会活動参加ができない状況があり、そのための交通費や物品費が不要となった。また、学会参加もオンラインであり、費用がかからなかった。2022年度は、データ収集・分析にかかる物品費や人件費(謝金)、郵送に伴う費用の使用が見込まれる。
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