本研究の目的は、長期療養高齢者に特有の苦痛および苦痛を緩和するための看護実践を明らかにし、長期療養高齢者のための緩和ケア指針を開発することであった。 まず、Walker and Avant の概念分析の手法を参考に、「長期療養高齢者の苦痛」の概念についての文献検討を行い、「長期療養高齢者の苦痛」の定義属性、先行要件、帰結を明らかにし、「長期療養高齢者の苦痛」の特徴について考察した。次に、医療療養病床に勤務する看護師を対象にした質的研究を行い、看護師が認識する長期療養高齢者の苦痛を明らかにした。最後に、上記2つの研究の結果を基に考案した長期療養高齢者の苦痛を緩和するための看護実践を基盤に、高齢者の緩和ケアに関する既存のガイドライン等より看護実践を抽出して作成した長期療養高齢者の緩和ケア指針の信頼性と妥当性を検証することを目的とした研究を実施し、5因子42項目の指針を開発した。 本指針は、長期療養高齢者の苦痛の緩和およびエンドオブライフの質向上に寄与できるものであると考える。 今年度は、成果のまとめとして論文の執筆および学会発表の準備を行った。
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